1972年、Y's(ワイズ)設立。ヨウジヤマモトは、1981年にパリコレクションにてデビュー。
ヨウジヤマモト(Yohji Yamamoto)は、デザイナーの山本耀司が設立したファッションブランド。
ヨウジヤマモトは、1981年にパリコレクションでコレクションを発表。当時タブーとされていた“黒”を前面に押し出したショーを発表し、“黒の衝撃”と称され一大旋風を巻き起こす。賛否両論の評価を受けつつも、時代に流されないその反骨精神が、モード業界に革命をもたらすこととなった。
山本のデザインは、彼の打ち出したアシンメトリックなカッティング、身体と服の間に空気をはらむようなシルエットが特徴。ボディコンシャスな時代のファッションの慣習を覆すものだった。
素材感でみせるレイヤードやドレーピングで見せる独自のスタイルは、ファッションの美意識を書きかえ、伝統的な男性服のスタイルを女性服にとり入れるなど、彼のコレクションはジェンダーの固定観念を打破したと言われる。
アヴァンギャルドかつクラシックなスタイルは、80年代以降、世界を代表するデザイナーへとなっていく。また、次のデザイナー、例えばマルタン・マルジェラ(メゾン マルジェラ)、ドリス ヴァン ノッテン、弟子だったエンニョ・カパサ(コスチューム ナショナル)らに影響を与えていく。
黒を基調としたデザイン、身体にまとった時の独特の分量感、複雑なパターンメイキングといったコアの部分は毎シーズン共通して見て取れる特徴である。そこにヴィヴィッドなカラーリングを差し込んだり、刺繍やペインティングによる装飾的な要素を取り入れたり、様々な表現が加えられることでシーズンごとの世界観を見せていく。
ヨウジヤマモト プールオムのコレクションにおいては2016年前後より、大々的なペインティングが目立つようになり、2018年春夏シーズンではメッセージ性を含んだテキストが多くデザインに取り入れられた。
『TALKING TO MYSELF』(02)、『A MAGAZINE』(04)など関連刊行物多数。2011年には自叙伝『MY DEAR BOMB』、2013年には『服を作るーモードを超えてー』、2014年には『山本耀司。モードの記録。』『YAMAMOTO & YOHJI』といった書籍が出版された。
継続的にドクターマーチン(Dr.Martens)やニューエラ(NEW ERA)、アディダス(adidas)とはコラボレーションを行っている。また、過去にはウブロ(HUBLOT)やレペット(Repetto)などともコラボレーション。2012年にはエドウイン(EDWIN)とコラボレーションし「Yohji JEANS」を発表した。
アーティストとタッグを組んだピースもコレクションにおいてしばしば展開しており、展覧会「画と機」でともにアート作品を発表した朝倉優佳のペインティングは、2016年春夏コレクションや2020年春夏コレクションなど、多数にわたりデザインに起用されている。また、2018年春夏コレクションなどに画家・内田すずめ、2014-15年秋冬コレクションに笹田靖人といったアーティストが起用されている。
■ライン一覧
・ヨウジヤマモト ファム(Yohji Yamamoto FEMME):ウィメンズのコレクションライン。デザイナー山本耀司の世界観を最大限に服のクリエーションで表現しているブランド。伝統的な西洋的服作りへのアンチテーゼ、「アンチテーゼによってモードを制覇する」という哲学のもと、常にタブーを壊し時代に流されない新しい価値観を創造する服作りを行っている。
・ヨウジヤマモト プリュス ノアール(Yohji Yamamoto +NOIR):ウィメンズのデイリーウェアライン。黒をテーマとし、分量、バランスにこだわり、山本耀司の世界として、クラシック(古典ではなく、流行にとらわれないスタイル)、エレガンス、ゴージャス(豪華ではなく、洗練されて美しい様)を表現。
・ヨウジヤマモト プールオム(Yohji Yamamoto POUR HOMME):メンズのコレクションライン。1984年~パリコレクションで発表。自由な精神を持つ”何者だかわからない“男たち。ダンディでありながらどこかコミカルなユニークさが漂っている男たちを表現。
・ゴシック ヨウジヤマモト(GOTHIC YOHJI YAMAMOTO):ヨウジヤマモト プールオムのアクセサリーライン。2013年秋~スタート。コンセプトは不変的であり続けること。ゴシックの特徴である鋭く尖ったディテール、菱型、ユリ、ヘビ、天使などのモチーフを落とし込んだ、シルバーアクセサリーやT-シャツを展開。
・ビー ヨウジヤマモト(B Yohji Yamamoto):シンプル、ユニセックス、スポーティーなデイリークローズのライン。
・ブラック スキャンダル ヨウジヤマモト(BLACK Scandal Yohji Yamamoto):ヨウジヤマモト プールオムの近年のコレクションより好評を得たプリント柄、デザインなどをピックアップし、ユニセックスなスタイルへと昇華したライン。
・ヨウジヤマモト バイ リーフェ(Yohji Yamamoto by RIEFE):リーフェ ジュエリー(RIEFE JEWELLERY)のデザイナー春井里絵を迎えて2021-22年秋冬よりスタートしたウィメンズ向けジュエリーライン。
・ヨウジヤマモト コレクションズ(Yohji Yamamoto Collections):時代に流されないヨウジヤマモトの理念をもっと自由に個々が体現できるリアルなワードローブを提案するライン。2021-22年秋冬よりスタート。
・ワイルドサイド ヨウジヤマモト(WILDSIDE YOHJI YAMAMOTO):ミリタリー、ワーク、スポーツをキーワードに、ヨウジヤマモト社のエッセンスから抽出した要素をカジュアルなテイストに再構築しディテールへと落とし込んだユニセックスブランド。よりモダンに、機能的にアップデートしたアイテムを展開。2022年7月よりスタート。
・パワー オブ ザ ホワイト シャツ(power of the WHITE shirt):デザイナー山本耀司が作り続けてきたホワイトシャツのコレクション。2022年9月よりスタート。
■関連ブランド
・Y's(ワイズ):山本耀司が手がけた最初のブランド。現在はデザインをアトリエチームが引き継ぎ、Y'sのアイデンティティを表現。機能的で上質な、品位ある日常着を提案する。
・ワイズ フォー メン(Y's for men):Y'sのメンズライン。2010年春夏シーズンからブランドを休止していたが、ヨウジヤマモト プールオム 2023年秋冬コレクションにて新作を13年ぶりに披露し、新たに展開をスタート。
・Y-3(ワイスリー):アディダスと山本耀司によるスポーツウェアブランド。
・リミ フゥ(LIMI feu):山本里美が手がけるウィメンズブランド。尚、山本里美は山本耀司の娘である。
・グラウンド ワイ(Ground Y):ヨウジヤマモトのフィルターを通しながら、「ジェンダーレス」「エイジレス」などの多面的な要素を取り入れたスタイルで、ファッションの新たな可能性を提案するブランド。
・S’YTE(サイト):オンライン限定ブランド。
・ディスコード ヨウジヤマモト(discord Yohji Yamamoto):山本耀司が設立したラグジュアリーアクセサリーブランド。
1981年、ヨウジヤマモトがパリコレクションデビュー。
1989年、ヴィム・ヴェンダースによるドキュメント映画『都市とモードのビデオノート』発表。その他、ワーグナーのオペラ、ピナ・バウシュ舞踊団、北野武監督映画などの衣装制作も手がけるなど、幅広い活躍を続けている。
1991年、東京でコム デ ギャルソンとの合同ショー「6・1 THE MEN」開催。
2002年、山本耀司がアディダスとの共同ブランド「Y-3」のクリエイティブディレクターに就任、ファッションとスポーツという2つの世界を融合し、革新的なスタイルを打ち出す。
2008年4月には北京にてワイズ(Y's)のショーを発表。
2009年、ヨウジヤマモト社が民事再生適用申請。投資会社・インテグラルとスポンサー契約を締結。
2010年春夏シーズンから、Y's for men(ワイズフォーメン)休止。
2010年4月に、「YOHJI YAMAMOTO THE MEN 4.1 2010 TOKYO」を東京の国立代々木競技場 第二体育館にて開催。
2011年、Webサイト限定で販売するブランド「s’yte(サイト)」(現在表記:S'YTE)を発表。同年、フランスで芸術文化勲章の最高位であるコマンデュール賞を賞与される。
2012年、s’yteのウィメンズラインスタート。
2012年、ヨウジヤマモトとフォトグラファーのレスリー・キーによる写真集「SUPER YOHJI YAMAMOTO」の出版を記念して、ヨウジヤマモト青山本店で写真展開催。
2012年、ヨウジヤマモトがウィメンズの新ライン「レギュレーション(REGULATION)」発表。2013年にはメンズでもレギュレーションを発表。
2014年、アクセサリーブランド「ディスコード ヨウジヤマモト(discord Yohji Yamamoto)」をスタート。2014年秋冬プレコレクションでファーストコレクションを発表した。メイドインジャパンのハイクオリティに拘り、バッグ、シューズ、スカーフなどのアイテムを展開。繊細でたおやかな日本の文化である“奥ゆかしい美しさ”をデザインの特徴とする。
さらに、ヨウジヤマモト初のブランドセレクト型ショップ「グラウンド ワイ(Ground Y)」をオープン。「グラウンド ワイ」は、ヨウジヤマモト社のブランドを複数取り扱う、 新しいタイプのブランドセレクト型の直営店。 ユニセックスのデニムと、Tシャツ、シャツとのコーディネートがテーマで、価格帯は2万円台が中心。若年層に向けて発信していく。
2014年、「ヨウジヤマモト アイウェア」デビュー。
2015年春夏コレクションより「プライ バイ ラグネ キカス(plyy by RAGNE KIKAS)」をスタート。デザイナーは、エストニア生まれのラグネ キカス(Ragne KIKAS)。
2015年~、ヨウジヤマモトとサンリオがタッグを組んだコラボレーションブランド「ki♢♢y’s(キティーズ)」展開。「ki♢♢y’s(キティーズ)」は2016年に休止。
2016年9月、約7年間にわたり代表取締役を務めた大塚昌平に代わり、LVMHグループのベルルッティジャパンで代表を務めていた今村英雄がヨウジヤマモト社の社長に就任。
2016年、レスリー・キーによる写真展がヨウジヤマモト 青山店にて開催。
2016-17年秋冬シーズンよりカジュアルなウィメンズライン「ビー ヨウジヤマモト(B Yohji Yamamoto)」をスタート。アルファベットの「B」は「Black」「Big Silhouette(ビッグシルエット)」「B面」といった言葉を暗示するイニシャルとして用いられている。
2017年、絵画を中心とした展覧会『「画と機」山本耀司&朝倉優佳』が東京オペラシティ アートギャラリーで開催される。
2017年、ヨウジヤマモト プールオムと[Alexandros](アレキサンドロス)がコラボレーション。カプセルコレクションを展開。
2017年、蜷川実花がヨウジヤマモトの2017-18年秋冬コレクションバックステージを撮影した写真展『Yohji Yamamoto×Mika Ninagawa [ BLACKLIGHTS ]』名古屋で開催。
2018年春夏シーズンから新ライン「ブラック スキャンダル ヨウジヤマモト(BLACK Scandal Yohji Yamamoto)」がスタート。ヨウジヤマモト プールオムの近年のコレクションから踏襲したプリント柄などを使用したアイテムを展開。
2018年、ヨウジヤマモト プリュス ノアールとシシド・カフカがコラボレーション。
2018年、ヨウジヤマモト公式ECサイト「ザ ショップ ヨウジヤマモト(THE SHOP YOHJI YAMAMOTO)」ローンチ。
2019-20年秋冬シーズンをもって、「ラグネ キカス フォー ヨウジヤマモト」終了。
2021-22年秋冬、リーフェ ジュエリー(RIEFE JEWELLERY)のデザイナー春井里絵を迎えて、ウィメンズ向けジュエリーライン「ヨウジヤマモト バイ リーフェ」をスタート。
2021-22年秋冬、新ライン「ヨウジヤマモト コレクションズ(Yohji Yamamoto Collections)」スタート。
2022年7月、ワイルドサイド ヨウジヤマモトがスタート。ニードルズ、ヒステリックグラマー、ウィンダンシーなど、数々のブランドとのコラボレーションを展開。
2023-24年秋冬、ヨウジヤマモト プールオムのランウェイにてワイズ フォー メンの新作を13年ぶりに発表。
2023年8月、ヨウジヤマモトが台湾初の店舗をオープン。
山本耀司は、1943年、東京生れ。慶応義塾大学法学部、文化服装学院卒業。69年「装苑賞」「遠藤賞」を受賞。72年ワイズ設立。94年フランス芸術勲章「シュヴァリエ」受章、05年フランス国家功労勲章「オフィシエ」受章。2008年、ロンドン芸術大学より名誉博士号を授与される。2011年、フランスで芸術文化勲章の最高位であるコマンデュール賞を賞与。