アレキサンダー ワン(ALEXANDER WANG)の2015-16年秋冬コレクションが、ニューヨークで発表された。ここ数シーズン続いていたカラフルなコレクションからは一変し、デザイナーのアレキサンダー・ワンが打ち出したのは、漆黒の世界。ウェットなウェービーヘアーとダークカラーのアイメイクが、不気味な世界観を確固たるものにしている。
真っ暗な世界に宿る一筋の灯りのように、メタルチェーンやパーツが、黒で統一されたワードローブにひんやりとした光を灯す。バスローブ風のロングコートやパジャマトップスなどのアウトラインを縁取るように配されたチェーンは、ジャケットやPコートの襟元、ポケット部分にもあしらわれ、コレクションの中でも抜群の存在感を放つ。
一方で、ゴシックなムードが流れているのも今季の特徴と言える。ビクトリア朝時代の服装からインスピレーションを得たモーニングジャケットやテイルコート、コルセット風のべストなどが展開。また、サテンキルティングのフライトジャケットや軍物ブランケットのようなドレスといった、ミリタリーテイストの装いも同時に披露され、ストリートスタイルへのアプローチは今季も継続されている。
そんなトップスやアウターに合わせたのは、ワイドパンツやクロップドパンツ、霧のようなテクスチュアのデニムパンツ。さらに、対地雷ブーツから着想を得たコンバットブーツをオン。ひと押しすると転がってしまいそうなほど、ボリューミーでデコラティブな足元は、エキセントリックな雰囲気を強めている。
ゴシックとヘビーメタルをミックスさせた今季のコレクションは、アバンギャルドでどこかアンバランス。ブランドらしい、最先端な生地使いや具体的な物象をイメージしたアイテム作りでほっと安心感を与えつつも、ドキっとさせる演出がそこらかしこに転がっているシーズンだった。