2015年3月1日(日)、マルニ(MARNI)の2015-16年秋冬コレクションがミラノファッションウィークで発表された。昨年、20周年のアニバーサリーイヤーを迎えたブランド。新たな心持ちでスタートする今季は、来場者の期待も大きかったはずだ。
今シーズンを振り返ると、+−の計算式が頭に浮かんだ。バランスという観点からみてみる。アイテムのほとんどは、ずっしりとした素材とロング丈で厳粛なムード。そこに太いレザーバンドで、高い位置にウエストラインを足す。すると、重厚感は薄まり、スッキリとした印象に。また大胆なスリットを引き、スカートに隙間を作る。ちらっと肌を見せることで、ここにもまた、スッとしたイメージが生まれるのだ。
この計算式は、様々なルックに当てはまる。例えば、Vカットのドレスとしても着用できるコートやタートルネックのニットワンピース。パンツとノースリーブコートを組み合わせたコーディネートでも。
足元にフォーカスを当てる。昨シーズンはプラットフォームを全面に押し出し、スポーティーなサンダルからレザーシューズまで揃った。今季は、細いヒールが気分のよう。ストラップ付きのパンプスやブーツは、装いにボリュームがある分、軽やかな印象だ。またオープントゥのブーツは、カクカクとした彫刻的なヒールが心を惹きつける。
知性的なファーの使い方も紹介したい。腕やポケットなど部分的に取り入れたり、ボディバッグでアクセントを加えたり……。バックスタイルに透け感のある素材を組み合わせ、バランスを調整しているルックもあった。テクニックを駆使し、インパクトを分散させることで、洗練されたスタイルが造り出されていく。
太いストラップのショルダーバッグやパイソン柄のハンドバッグ、さらにビジューのイヤリングといったキュートな小物は、引き続き展開。構築的なシルエットやフラワープリントなど、ブランドのコアとなる部分を尊重し続けることが安心感につながり、より斬新なアプローチで洋服作りに挑んでいる姿が見て取れた。