アンリアレイジ(ANREALAGE)が、2015-16年秋冬コレクションをパリで発表した。海外デビューを果たした前回に続き、これがブランドにとって2回目となるパリコレでのショーだ。2015年春夏シーズンのテーマとなったのは「SHADOW」。そして今回が「LIGHT」。
ピーーーィィィイイイイイイイィィーー。会場に電子音が鳴り響き、徐々に大きく、そしてそれは耳をつんざくほどにまでになり、また小さくなる。そんな中、奥から静かに現れたのは、全身を真っ黒に塗られたモデルだった。アームが丸みを帯びた構築的なジャケットに、ロングのフレアスカートを合わせ、足元はレンズがヒール代わりになったパンプス。全てブラックで、ジャケットの中央だけが、大きな円状に白く着色されている。あたかも服が、スポットライトに照らされながら、出来上がっていったかのように。
「光で闇を照らすというのは、誰もがやったことがある経験だと思います。それを服の上で表現したかった」
デザイナーの森永はそう語った。ショーが進むにつれ、彼の言う、光に照らされたような円の部分は、豊かなバリエーションを見せ始める。チェッカーフラッグ、ギンガムチェック、タータンチェック、複雑な編みのローゲージニット……。そして生地の漆黒が、線で塗りつぶしたような隙間のある黒に変わると、スカートには縮んだようなギャザーがはいる。そうした変化はどこかいびつな印象を与えた。
ピーーーィィィイイイイイイイィィーー。
モデルの居なくなった会場に、デジャヴのように、またもや電子音がなり響いた。そして今度現れたのは、完全に全身がブラックのモデルだった。先ほどよりも、黒の素材には光沢があるように見える。現れたモデルは、いくつかのスポットライトが、局所的に照らしだすランウェイを歩く。フッ。ライトを潜り抜けたとき、会場は息を飲んだ。ライトに照らされた部分だけが、カラフルな花柄に変化したのだ。照らされている、ごくわずか、その一瞬だけ。
そう、毎シーズン実験的な試みを行っているアンリアレイジの、今季の核となるしかけは、紫外線の光を当てると隠された柄が浮かび上がる素材だったのだ。花柄に加えて、水色のチェッカーフラッグ、赤いタータンチェック、レインボーの千鳥格子などが、漆黒の闇から、光の恵みを受けるたび、溶け出す。そして最後は、光をあてると水玉の背景に同化する、ライゾマティクス・真鍋大度とのコラボレーションウェアで締めくくられた。