N. ハリウッド(N.HOOLYWOOD)が2016年春夏コレクションを、アメリカ・ニューヨークで発表した。今シーズンから始まった、ニューヨーク初のメンズファッションウィーク「New York Fashion Week: Men's(NYFW:MEN'S)」。 N.ハリウッドは今回、このスケジュールの中でのランウェイショーを選んだ。
タイポグラフィ。デザイナーの尾花大輔は今季、このコミュニケーション手段の可能性に、大きな魅力を感じていた。その中でも、特別な存在が2人。アメリカン・タイポグラフィの先駆者として様々な定義を残したハーブ ・ ルバーリンと、ボディペインティングなど独自の手法を用いて、オリジナリティー溢れる作品を生み出すミキタイプだ。今季はこの2人の作品にインスピレーションを受けながら、骨太であり繊細でもあるウェアに、独特の色を加えていったシーズンだと言えるだろう。
コレクションの始まりは静かだった。ファーストルックは、ドロップショルダーのコートに、クロップドパンツをあわせたコーディネート。全身ブラックのワントーンでまとめられている。続いてネイビー、オフホワイト、ベージュなど、時にビビッドなオレンジが差し込まれるものの、基本的には無地、そしてベーシックなカラーの中で変化していくアイテムの数々。軽やかな素材感と、ゆるやかなトップス×タイトなパンツのバランス感もまた、前半を通じ一貫していた要素だ。
後半に入ると、タイポグラフィの影響が目に見えて色濃くなる。数種類のフォントの文字が散らばるTシャツに始まり、スプレーで描いたレンガ風グラフィックのパンツやトップス、コートが登場。それからは、モノトーンで規則的に、あるいはレッドとブルーで不規則に文字を並べたグラフィックを多用していった。平面的でなく手書きのようにムラのある文字の数々は、見るものの視線を惹きつけ、まるでそこに深い意味があるかのように、何かを訴えかける。
ショーを通してシューズは、軽量素材のスリッポンスニーカーがメイン。ほどよく肩の力が抜けつつも、エッジの効いたコレクションを、最後まで足元から支えていた。