ジバンシィ(Givenchy) 2017年秋コレクションの舞台は、デンマークの首都、コペンハーゲン。この都市の近未来的な構築デザインをインスピレーション源に、表情豊かなワードローブを紡ぎ上げていく。
ルックの背景には、アイコニックな3つの場所をセレクト。その1つは、1956年にヴィルヘルム・ラウリッツェンが手がけたVEGAのコンサートホールだ。ウィメンズのアイテムたちは、端正な面持ちのマスキュリンスタイルや、イブニングドレスのレース使い、キャメルの色合いや柔らかなグラデーションが、イエローとゴールドで強調され、それらがスカンジナビアの森の暖かさを彷彿とさせてくれる。
一方メンズは、ダブルダーツパンツを採用したスーツスタイルなど、ゆったりとしたシルエットが中心。ボリューム感に負けないよう、アウター類はしっかりとした強い質感の生地を採用し、バランスを保っている。
シーズンのアイテムに共通して流れるのは、よりアーバンで、賢者と反逆者の精神が相反する独特のスタイル。メゾンの真髄であるスポーツウェアとクチュールの融合が、2つ目の舞台、ウィーンのホテルアストリアに集結している。
そして最後の舞台は、デンマークを代表する建築家、アルネ・ヤコブセンが設計したガソリンスタンド。コレクションを象徴する、対照的なカラー使いや芸術的なプリントを、アーティスティックな舞台が引き立てている。
都市と建築という舞台から見る洋服たちは、同じものであってもまた違う表情を見せてくれるもの。生活や日々の営みに添い遂げる本来のファッションの息吹を再考させられるようなルックだ。