2012年3月20日(火)、まとふ(matohu)が2013年秋冬コレクションを発表した。シリーズ「日本の眼」で日本の美意識に注目してきたデザイナーの堀畑と関口。5回目の今回のテーマに選んだ「やつし」とは、豊かで美しいものが、あえて簡素にして貧しく変化する姿に時間の奥行きを見出した日本古来の美意識をさす。
オフホワイト、ベージュ、モスグリーン、ブラウン、深みと光沢のあるブルーやゴールドなど落ち着いたカラーを中心に展開。
まとふのメインアイテムとも言える長着や構築的なジャケットとスキニーデニムのコーディネートが様々なバリエーションで登場。長着はシンプルなデザインであるからこそ、上質のシルクやウールといった素材をあえて簡素に見せる加工とカッティングの美しさを強く感じさせた。また、屑繭を使ったシルクを麻のような風合いに加工した生地に鮮やかなブルーや山吹色を刷毛で描いたボックスワンピースが印象的だった。
デザイナーの関口は秩父宮ラグビー場で開催した理由を「外苑前のイチョウを背景にしたかった。夏には青々と茂るイチョウ並木を今この冬の時期に歩きながら会場に向かうことで、四季の移ろいを感じるような“やつし”の美を実感してほしい」と語った。見た目のきらびやかさに頼るのではなく、内面から強さや毅然とした美意識を滲ませる女性像を描いたコレクションだ。