ファッションのつくり手であるデザイナーに焦点を当てることで、装いの文化や社会現象を考える勉強会「Think of Fashion」の第3回目が2012年12月9日(日)に開催される。今回は「語られない1970年代のコム デ ギャルソン(COMME des GARCONS)」をテーマに文化ファッション研究機構共同研究員の工藤雅人と近日刊行される「相対性コム デ ギャルソン論」(フィルムアート社)の編集を務めた西谷真理子を特別ゲストとして招き、モデレーターを務める高城梨理世とともに考えていく。
コム デ ギャルソンの歴史は、その多くが1981年のパリコレデビューを始点として「黒の衝撃」というキーワードとともに語られてきた。しかしながら、ブランドの創設が1969年であるのに対し1970年代のコム デ ギャルソンは語られてきていない。
今回は『an・an』など1970年代のコム デ ギャルソンが掲載された雑誌を見ながら、当時のコム デ ギャルソンと「黒の衝撃」以降との落差、現在のコム デ ギャルソンになっていく過程を確認。さらに、1970年代が語られない理由を「歴史」をキーワードとして試論的に考察する。
【プロフィール】
講師:工藤雅人氏
1981年山形県米沢市生まれ。東京大学大学院学際情報学府博士課程在籍、文化ファッション研究機構共同研究員、武蔵大学社会学部非常勤講師。専門は文化社会学、メディア史、ファッション論。論文 に「回帰と更新の果てにANREALAGEが見た景色」(『A REAL UN REAL AGE』パルコ出版、2012)、「COMME des GARCONS以前のコム デ ギャルソン――1970年代が可能にしたCOMMEdes GARCONS」(西谷真理子編『相対性コム デ ギャルソン論』フィルムアート社,2012)、 「洋服から身体を引き剥がす――ANREALAGEの示す『かたち』」など。
特別ゲスト:西谷真理子氏
1950年生まれ。東京都立大学卒業後、文化出版局に入社。「装苑」「ハイファッション」他に在籍し2011年3月定年で退職。以後2012年6月までハイファッション・オンラインのチーフエディターを経て、現在はフリー。2011年秋に東京オペラシティで開催された『感じる服、考える服 東京ファッションの現在形』展共同キュレーターを務め、カタログ(以文社、PRESTEL社刊)を編集。2010年から2011年にかけては、後藤繁雄主宰のSuper School「ファッションを記述する」で講師に。編著に『ファッションは語りはじめた』『相対的コム デ ギャルソン論』(2012年12月刊)(ともにフィルムアート社)。世田谷ものづくり学校発行のIID PAPERにコラム「女子の強気」を連載中。2013年4月より、京都精華大学ポピュラーカルチャー学部ファッションコースの特任教授に就任予定。
モデレーター:高城梨理世
1984年鹿児島生まれ。母親の影響で幼少時からファッションに興味を持つ。国際基督教大学への進学を機に上京、西洋美術史を専攻。「COLORS ファッションと色彩:VIKTOR & ROLF & KCI」展がきっかけで、ファッションを研究、記述することに関心を持ち、以後修士課程修了まで、ファッションを研究テーマとする。興味の対象はファッションとオリエンタリズムや、前衛性、身体性の問題など。好きなブランドはヨウジヤマモト。東京大学大学院表象文化論コース修士課程修了。
【書籍紹介】
『相対性コム デ ギャルソン論-なぜ私たちはコム デ ギャルソンを語るのか』
コム デ ギャルソンをめぐって、研究者(成実弘至、井上雅人、井伊あかり、菊田琢也、平芳裕子、小澤京子、工藤雅人)、 建築家(五十嵐太郎、浅子佳英、坂牛卓、松田達、入江徹、藤原徹平)、哲学者(千葉雅也、本間直樹)、アートキュレーター(長谷川祐子、木ノ下智恵子)など、ファッション業界のいわば外野22人が、それぞれの視点から、自由に書き、発言した評論集。国内で発行されているコム デ ギャルソン本の多くがブランドの協力のもと作られていることを考えると、異色の本と言える。そのため、コレクション写真などブランドから提供される写真素材は掲載せず、グラビアはフルーツ、チューン、ストリートに掲載されたコム デ ギャルソンを着たストリートスナップでまとめられている。ブックデザインは前田晃伸。四六判、約350ページ。価格は未定。フィルムアート社から12月中旬刊行予定。
【講演会詳細】
会場:カフェ&ギャラリー「ブロックハウス」(blockhouse)
住所:東京都渋谷区神宮前6-12-9
日時:2012年12月9日(日) 18:00~19:30
会費:2,000円※ワンドリンク付
定員:50名
TEL:03-6318-2003
URL:http://blockhouse.jp/
※勉強会後 懇親会を予定。ワンドリンク・フード付き、1,500円。
【申し込み先】
「Think of Fashion ファッションを考える」実行委員会
palette.produce@gmail.com
※アフタートーク参加希望の方はあわせて記載すること
【今後の予定】
2013年1月27日(日)18時〜
フィーチャーブランド:ハトラ(hatra)
講師:星野太(東京大学特任助教)
2013年2月24日(日)18時~
フィーチャーブランド:ア ベイシング エイプ(A BATHING APE)
講師:依田健吾(批評家・研究者)