TOGA(トーガ)の2021年春夏コレクションは、“WHOLESOME(健全)”、“CUTTING(切断)”、“SPLITTING(分割)”をテーマに掲げた。健康的な身体を装う機能的な服を目指し、今季はスピード(Speedo)とのコラボレーションをはじめ、スポーティな要素を巧みに活かした。

健康的な身体、密接に関わる服の再定義

今季のテーマとなった言葉のひとつ“WHOLESOME”には、健康的な身体へと導く服を目指す意味が込められた。そして“CUTTING”と“SPLITTING”は、身体と密接に関わる服の再定義。家で過ごすことが多くなった2020年、デザイナーの古田泰子が、改めてファッションと向き合い、今まで自分が見てきたことだけを信じるのではなく、一度すべてを切り離してみて、見方を変えてみたらどうだろうか、という再考を意図している。

機能的なスポーツの要素を取り入れる

まず“WHOLESOME”については、スピードとのコラボレーションがそれを物語っている。コートには、トップストリートの水着に用いられる「レザー ピュア パルス」、Tシャツやショーツ、バッグは、スムースな肌触りと優れた形態回復機能をもつ「SOLOTEX」を採用。身体に触れる服の重要性から、機能的素材に重きを置いた。「SOLOTEX」には、大胆なフラワーモチーフやモワレプリントを施すことで、TOGAらしい大胆不敵な再解釈を加えている。

切断が生み出す新しいカタチ

“CUTTING”と“SPLITTING”を表すディテールは、これらコラボレーションでも表現されている。例えばコートやワンピースには、長い止水ジッパーが施されており、それを開ければ全く異なるシルエットへと変化する仕様だ。それ以外のアイテムも同様。太い短冊状のパーツが編み込まれたドレスルックや、脇をあえて露わにした光沢のあるブラウスが登場している。

またライニングが露わになる表現もテーマを忠実に再現するもの。ジャケットやパンツの裾からはライニングがはみ出し、まるで大胆なレイヤードを楽しむかのようなスタイルを築いている。また、時にはその切断部を埋めるかのようにシースルー素材が当てはめられているのも面白い。

さらに、もっと細やかなところ目を向けると、切りっぱなしのディテールも見受けられる。大胆にカットオフした名残のあるニット類は、あえて肌を見せることで身体と服の関係を無意識的に感じさせる。