2013年10月14日(月)、ヤストシ エズミ(Yasutoshi Ezumi)の2014年春夏コレクションが発表された。テーマは、「Architectonic(建築術の)」。"建築三大巨匠"とも言われるスイスの建築家、ル・コルビュジエの作品、特にロンシャン礼拝堂がインスピレーションとなり、生地の切り替えやタックに取り入れた。
「住宅は住むための機械である」と唱えるコルビュジエの思想は、徹底された合理主義。その中で、有機的なシェル構造の屋根がのせられたロンシャン礼拝堂は異彩を放つ。服の中でも、キレのある直線と曲線的な布の切り替えが交差する。異素材の組み合わせが光るラストルックがいい例だ。
また、半身に四角いパネルを張り付けたようなドレスの上では、肩に羽織ったカーディガンでドレーピングを思わせるラインを描き、流れるように柔らかな質感のロングスカートは、裾のカッティングをシャープに仕上げた。コレクションの象徴的なパターンともいえるウィンドウ・ペンは、下地と同色で描かれていても確かな存在感を発揮する。
足元のチャンキーヒールは、その圧倒的な存在感で自然と観衆の目を奪った。塔のようなフォルムがテーマのエッセンスを色濃く表わしている。色使いは厳選され、ミニマルに。モノクロに少しずつ加えられたマゼンダや、ほんのりとくすみを利かせたグリーンは、何度もカラーワークを重ねた上に決定された。また、「今回は、女性のマーチャンダイジング担当の方の意見をデザインに取り入れて、女性らしく、モダンな感じだけど着やすくすることを意識した」とデザイナーの江角泰俊は語った。消費者に服をよく着てもらえることも大切だ、という意識が生まれたという。
建築家以外にも、画家や彫刻家として異なる領域をまたいでクリエイションを生み出し続けたコルビュジエ。「ロジカルな解釈」をファッションと結びつけるという、挑戦でコレクションを発表する江角とその姿は重なる。