ジョン ローレンス サリバン(JOHN LAWRENCE SULLIVAN)の2025-26年秋冬コレクションが発表された。
ジョン ローレンス サリバンの2025-26年秋冬コレクションは、ドイツを代表する芸術家アンゼルム・キーファーからインスパイア。ドイツの歴史や戦争、神話などを題材に、砂や藁、鉛などを画材に混ぜた作品で知られている。2024年6月にはドキュメンタリー映画『アンゼルム “傷ついた世界”の芸術家』が公開されるなど、彼の作風や生涯は多くの人に影響を与えている。
そんなアンゼルムに多大な影響を受けたという今シーズン。彼の作品に色濃く反映されている、彼自身が幼少期に体験した第二次世界大戦直後から着想を得た、ミリタリーウェアが登場している。中でも、当時の“軍服”に見られる袖のパターンを拡大解釈し、極端にラウンドさせたシェイプが目を見張る。特にメンズでは、フライトジャケットをはじめ、バイカージャケット、テーラードジャケット、デニムジャケット、海軍コート風のロングコートなどに採用し、抜群の存在感を示した。
ウィメンズでは、全体的に女性らしい身体のラインを引き立てるシルエットが採用されている。たとえば、デニムジャケットやレザージャケット、ニットトップスなどは、コルセットをしているかのようなメリハリのあるスタイルに。くびれを極端に強調させた中世ヨーロッパの女性たちの装いを思わせる、クラシカルな印象に仕上げている。
また、毎シーズン提案しているウィメンズのレース素材のアイテムも健在。本来のボディラインを引き立てるような透け感やタイトさが魅力だ。ボディ部分を繊細なレースで仕上げたトップスがその好例。ぴったりと身体に沿うレースのボディスーツは、セットアップとのレイヤードで提案された。
アンゼルムの作品には、積み重ねられた時間や層を表現する“錆”や“カビ”のモチーフが度々登場する。今季は、そんな“錆”や“カビ”を、グラフィックや素材によって表現した。特に、セットアップやドレスに採用した絶妙な陰影のベルベットは、触感までがモチーフ通りで、ざらざらとした凹凸感がある。また、ヴィンテージ加工のレザージャケットからは、重厚かつ退廃的な雰囲気を感じられる。
重厚感をもたせるアクセサリー類にも注目。極太のベルトは、ウエストラインを強調する役割を担うほか、スタイリングにアクセントをプラスしている。加えて、2023年の作品《Le Prométhée mal enchaîné》に登場する鎖に着目したネックレス、ラペルチェーン、キーチェーンといったジュエリーは、強めに燻しを施したシルバー925で製作。時が織り成す重みや劣化を与えると共に、ルックにどことなく緊張感を漂わせた。