ヴィヴィアン・ウエストウッド マン(Vivienne Westwood MAN)が2015年1月19日、2015-16年秋冬コレクションをイタリア・ミラノで発表した。
コレクションのキーワードは、様々なチェックをひとつのスタイリングの中に盛り込んだ「チェックオンチェック」と、男女分け隔てなく着られる「ユニセックスアイテム」の2つ。最初にランウェイに現れたのは、ピークドラペルの大柄なチェックのシングルジャケット、ペグトップシルエットのウインドウペンのパンツという男性的な服に、ブルーのパンプスを合わせた女性。男女どちらでも行けそうな共有できる服を最初に提示。ユニセックス視点では、「少女が父親やボーイフレンドの服を借りている感覚」を表現したという。
アイテムでは、様々な編み地の意匠性の強いニットが多く提案された。そうしたデザイン性の強いニットはレディースからメンズへの落とし込みで、伝統的なフェアアイルのカーディガンやたっぷりしたサイズ感のニットに見てとれる。
チェックオンチェックの表現は本当に多彩で、大柄なグレンチェックのジャケットに、布を斜めに裁ったバイアスチェックのパンツを合わせたり、上下で違う色味のグレンチェックのスーツに大きなチェックのストールを合わせたり……。それでもうるさくならないのは、それぞれのアイテムが色を拾っていることと長年の経験の成せる技なのだろう。
ジャケットは、第一ボタンと第二ボタンの感覚を長めにとった新しいバランスのダブルブレスト、ショールカラーとピークドラペルが融合したような70年代のバタ臭い雰囲気を醸すシングルなどを提案。70年代調の表現は、インナーで多く使用されたロングポイントのシャツや、お札プリントのセットアップスーツでも見て取れる。
また、今回のコレクションはウェールズ公チャールズに捧げたものでもある。後半に登場するチャーチルの顔がプリントされたTシャツは、かれを揶揄しているわけではないのだ。プレスリリースの中でヴィヴィアンはこう述べている。「私がパンクで人権問題と戦っていた70年代、若きプリンセス・チャールズは、人々は自然との調和の中で生きるべきだとすでに気づいていた。かれがその後に行ってきた数々のチャリティ活動に敬意を表したい」と。
マルコム・マクラーレンとヴィヴィアンがプロデュースしたパンク・ロックバンド「セックスピストルズ」は、1977年に発売した2作目のシングル「ゴッド・セイブ・ザ・クイーン」でエリザベス女王を扱き下ろした。それから38年。2015年1月19日はパンクと英国王室が和解した記念すべき日なのである。