ミナ ペルホネン(minä perhonen)の2015-16年秋冬コレクションが発表された。テーマは「コク」。料理に例えると、じっくりと時間をかけて、様々な素材や技術を煮詰めたスープだ。創立20周年を迎えたブランドは、丁寧なクリエーションを通して、これまで築き上げてきた経験を振り返り、そこにスパイスを加えるように、新しいイメージを創り出す積極的な姿勢を加味していく。
パッと目に留まる、マルチカラーのコート。オレンジやイエローなどのエネルギッシュな色彩とブラックやネイビーといった落ち着いた色彩を掛け合わせている。「ポトフ」と名づけられたこの織物は、手作業で一つ一つカッティングすることで、温かみのある風合いを生み出している。
また「ワンダー」という名のファブリックは、生地を溶かす手法を用いて、独特の光沢感を持つ裏地を内側から覗かせた。そこには、デザイナーの皆川明が描いた動物や草花のモチーフがひっそりと潜んでいて、おとぎ話のような世界観を漂わせている。反して、裾は切りっぱなしにし、可愛らしさと反対にある力強い一面も見せていく。
コレクションを通して、二面性へのアプローチは継続。一つ一つのひだが離れてしまいそうな立体的なプリーツスカートやふっくらとした厚みのある花の刺繍を並べたワンピースなど、繊細なアイテムが揃う。一方で、ブラックのパンツやベーシックなホワイトシャツなど、シンプルで馴染みやすいウェアも展開された。
また、今季もバリエーション豊富な小物がラインナップ。蝶々のモチーフは、立体的なブローチやヘアクリップになったり、ネックレスになったり。真っ赤な鳥型レザーバッグには、小さなビーズでボタニカル柄の刺繍をあしらい、ロマンティックなムードを引き出している。
今シーズンは、ワードローブやファブリック、どちらの面から見ても、繊細さと強さを混同させていた。節目の年を迎えたブランドは、次の20年、さらに先を見据えて、前進している。そんな躍動的な姿が感じられるコレクションに仕上がった。