アトリエ ヴェルサーチ(Atelier Versace)の2016年春夏 オートクチュールコレクションは、「アスレチック・クチュール」がテーマ。自分が行くべき道へ向かって突き進む女性のためのワードローブが披露された。
フェミニティやダイナミズムを表現することを念頭に、女性の美しいボディラインがはっきりと表現できるようなドレスを制作。人間工学に基づいたラインや生地同士の組み合わせが、気品や妖艶な色彩を存分に引き出している。
イエローやオレンジのハーネスが白のジャケットやパーカ、ドレスに施され、独特の引き締め感を演出。ジャンプスーツは背中が大きく露出するようドレープになっており、マイクロスパンコールを手刺繍で装飾したベルトが体を支えるデザインになっている。
ショーの後半にかけて多く登場するブラックのドレスは、カラフルなインナーや編み込まれたスワロフスキーの輝きによって、その魅力をより引き出した。ファブリックの向こうに見える肌やヴィヴィッドなテキスタイルは、ステンドグラスを通して色彩を持った透明な光を連想させるほどに美しい。体の上でうねるように触れるスパンコールも、女性が持つ力がほとばしったように煌めきを増している。
アトリエ ヴェルサーチのコレクションは、ジュエリーの輝きを持って完成する。複雑なセッティングテクニックを駆使することで、軽量かつ優雅でボリュームのあるピースを数々披露した。ユニークなブローチは、際立った透明感が特徴の126カラットのカルセドニーを手彫りで仕上げ、メデューサの顔として配置している。
滝をイメージした、ペアシェイプカットのダイヤモンドで装飾されたネックレスは、女性の素肌の上を水が流れるように見えるほど贅沢にあしらわれた宝石達が、自由や女性の喜びを彷彿とさせる。他にも、扇子もしくは折り紙を連想させるような、赤いルビーとダイヤモンドが散りばめられたブレスレットとイヤリングなど、それ単体でアートとして成立するような贅沢なジュエリーがショーを彩った。