2012年3月20日、エー ディグリー ファーレンハイト(A DEGREE FAHRENHEIT)が2012-13年秋冬コレクションを発表した。テーマは「23°F(—5°)“SLOW FREEZING”(緩慢凍結)」。緩慢凍結とはゆっくりと時間をかけて凍結する方法を指す。そのままの状態をキープする瞬間冷凍と対照的に、緩慢凍結は細胞繊維を破壊し、脱水しながら凍らせるため大きな結晶が出来上がる。デザイナーの天津は「片方が大きく凍ったりするようなアンバランスな緩慢凍結をテーマにすることで、かっこよさや強さを表現したかった」と語る。
ショーが始まる前から会場がスモークが立ちこめ、どこかひんやりした空気が漂う。まるで洞窟にいるかのように神秘的な音楽が流れる中、ゆっくりとモデルが現れた。カラーパレットをグレー、ブラック、ベージュ、ピンクベージュに絞り、フリルやドレープ、氷の結晶のデジタルプリントと色の切り替えでバリエーションを展開。無駄のない、身体に密着するようなシンプルなラインのアイテムに、モヘアのケープやアームウォーマーを合わせてスタイリングのポイントにした。また、スキニーパンツや構築的なジャケットなど力強さを感じさせるアイテムが並ぶ中、バックスタイルのデザインやドレープ、やわらかなジャージ素材で、さりげなく女性らしさを表現。シックで上品なコレクションが並んだ。
今回、第二回DHLデザイナーアワードも受賞し、ますます活躍が期待されるエディーグリーンファーレント。ディテールにまでこだわりを見せるそのデザインは心から美しいと感じさせられ、作りこまれた世界観にただ引き込まれる。服作りへの情熱と高い感性を改めて感じさせる圧巻のコレクションだった。