バルマン オム(BALMAIN HOMME)の2019年春夏コレクションがフランス・パリで発表された。今季は、音楽とファッションの関係性、ひいては時を越えて愛される音楽界のスター、マイケル・ジャクソンにフォーカスしたシーズンだ。
マイケル・ジャクソンは、これまでのルールを取っ払い、境界線を超越した。そして、デザイナーのオリヴィエ・ルスタンは、彼のその姿勢を、音楽を愛し、オマージュの意味を込めて今シーズンのワードローブに彼の象徴的なスタイルを取り込んだ。
マイケルをよく知らない人であっても、彼のスタイルの象徴はナポレオンジャケットだというはずだ。それをベースにしたアウターは今季のキーで、ブレードから派生したようなボーダーやダブルボタンの配列、そしてエポレットはなくとも強調された肩のシルエットといったディテールがその要素を物語る。カーディガンやボトムスに配されたボタンもまた、同じ着想から生まれたデザインだろう。
スパンコールやスタッズ、グリッターは、バルマン オムのコレクションでも絶えず出てきた装飾だが、偶然か必然か、マイケルのスタイルにもよく取り入れられていた装飾だ。それを用いると同時に、今季はマイケルが好きだった赤と黒、そして、彼の祖国であるアメリカの星条旗を想わせるカラーで彩った。
バルマン オムらしい、ゴージャスなモチーフもすべて彼を思ってのことだろう。例えば、スリラーのミュージックビデオで着用していたジャケットのV字、デンジャラスのアルバムジャケットを想わせる煌びやかなプリント。さらに、Tシャツには「BALMAIN WORLD TOUR」とショー開催日の日付を配した。きっと、“音楽がもつ愛”を伝えるためワールドツアーを幾たびもしていた彼の意志を継ぐ意味が、今季のショーには込められているのだろう。