こだわりの服作りで知られるワンは、日本のモノづくりへも高い関心を持っているのだそう。
日本の素材やデザインに関して昔から興味がありました。日本は技術が進んでいて、Tシャツに使うジャージーとかシンプルな素材においても、手仕上げの工程に至るまで素晴らしいです。今回発売される限定アイテムでも、A-GIRL'Sという日本の工場と組んで特別な素材を開発したり、バックパックに特別なコットンを使ったりもできたのが嬉しかったです。コレクションでも日本の素地を使っていますが、特にヴィスコースやポリエステルなど化学繊維について、驚くような技術を持っていますね。テーラードアイテムに使うウールも日本のものはコンパクトで、素材で世界観を表現してくれます。
日本のデザインではパッケージにすごく惹かれます。キャンディーの箱とか小さなコスメとかのパッケージによるプレゼンテーションの仕方にはいつも驚かされます。ティッシュの箱でさえエレガントなんですから。
この5年間で、もっと言いたいこと、伝えたいことがでてきました。でも、アレキサンダー ワンのDNAである「イージー&エレガンス」は変わりません。もちろん、アレキサンダー ワンの服だとすぐにわかるような、イージーでリラックスした服もつくり続けたいと思っていますし、クリエーターとして、新しいメッセージをどう伝えていくか模索していくこと、それが成熟というものなのではないかと思います。
T by ALEXANDER WANGのコレクションもどんどん大きくなっています。そして、メインのコレクションラインはよりコンセプチュアルになってきています。でも、この2つのラインは別々ではなく、T byもディフュージョンラインというわけではなく、すべてがリンクしています。一人の女の子が、Tシャツを着たいときもドレスを着たいときもあるように、2つが同じ傘の下にあるようなイメージです。
今季も楽しくクリエーションにとりかかれました。皆をエキサイトさせることができたし、着てみたい、と共感してもらえるようなものができたと思います。フィナーレでは、ダークな空間の中で発光する服を披露して、驚きも与えられましたしね。
日本は大きなマーケットですので注目しています。いろんなショップに服を置いてもらえていますし。今回のポップアップショップはとても楽しみで、今後常設スペースも設ける予定をしています。ショップについては今は約束できないですが、日本大好きだからまた来たいと思っています。
最近やっとオンラインストアがアメリカ国内だけでなく、他の国へも郵送できるようになりましたので、オンラインストアを大きくしていくことが今の目標です。実は、今世界で(アメリカを除く)2番目に多いのが日本からのお客様です。E-COMMERCEは今後も更に力を入れていきたいと思っていますし、多くの日本の方にショッピングをしていただけていることを大変感謝しております。
明るい朝の光が差し込む部屋で、前日のフライトの疲れも見せず、始終笑顔でインタビューに答えてくれたアレキサンダー・ワン。自身のクリエーション、そしてブランドについて楽しそうに話してくれたのが印象的だ。そして、その言葉からはモノづくりへの強いこだわりと、溢れる才能、そしてビジネスへの確かな方向性が伝わってきた。1984年生まれ、まだ20代の青年が、ブランド設立から8年で世界のトップデザイナーたちと肩を並べるようになった理由が納得できた。
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アレキサンダー ワンが伊勢丹新宿店ザ・ステージでコンセプトストア開催、デザイナー本人の来日も決定
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アレキサンダー ワンのイルカやビーチボールがDSM銀座に限定登場、デザイナー本人も10月17日に来店
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アレキサンダー ワン2013年春夏ウィメンズコレクション全ルック
Text by Hamae Yamamoto