モスキーノ(MOSCHINO)のブランド創立30周年の節目に、クリエイティブディレクターを務めるロッセラ・ヤルディーニが目指したのは、創立者のフランコ・モスキーノに敬意を表し、彼の美しさのビジョンを刺激したすべてのアイコニックなテーマに新たな解釈を加えること。2014年春夏コレクションでヤルディーニは、舞台空間の特別な演出で、現代女性の「善」と「悪」を自由に表現した。
アニバーサリー・ショーのオープニングを飾ったのは、ヤルディーニお気に入りのモデルたち4人。イタリアの国旗と牛のモチーフをあしらったストラップレスドレスを着たパット・クリーヴランドをはじめ、ヴィオレッタ・サンチェス、アマリア、ジゼル・ゼラニーといった元祖スーパーモデルたちがランウェイに帰ってきた。彼女たちが纏ったのは、いずれもブランドのアーカイヴから復活したシンボリックなアイテム。彼女たちが舞台から姿を消すと、「善」と「悪」のバージョンを表現したさまざまなキャラクターで構成した2014春夏コレクションがスタートした。
尼僧、メイド、プレイメイト、バイカーなど、その他多くのさまざまなキャラクターが、ストリート系のグラムスタイルと上品で優雅なスタイルの両方で登場し、二面性を描き出した。品よく力の抜けた、親しみやすさを醸し出すと同時に、極めて洗練されたコレクションに。ジェネレーションを超え、幅広い層の女性の琴線に触れるコレクション構成だ。
象徴的なアイテムは、きらめくスタッズでハートやドットがあしらわれたレザージャケットや、パールの刺繍を施した軽やかな透け感のあるドレスなど。白、黒、赤のファブリックに鮮やかなバラの模様のプリントや刺しゅう、パール、チェーンのディテールがキャッチーかつ優雅な印象だ。また、服やアクセサリーに入っている、シャイニーなメタルとゴールドのレタリングのロゴもモスキーノらしい。
短く「切り詰めた」シルエットや長い花びらのようなカット、ストライプ柄やギンガムチェック、ひらひらしたキュロットや上品なオーガンザのドレス、すべてを手刺しゅうで仕上げたラッフルや大きなひだ飾りなど、多種多様な形や個性的なディテールを、ひとつのリズムでまとめ上げている。
そして、グランドフィナーレでは、ディスコクイーンのグロリア・ゲイナーが「I AM WHAT I AM」をライブで歌う声が響き渡る中、ブランドの歴史を彩ったモデルたちが再び舞台へと戻り、更に10着のヴィンテージルックを披露した。同時に、舞台でタブロー・ヴィヴァン(活人画)のパフォーマンスが展開され、更に「LA CLASSE NON E ACQUA」というモットーを記した真っ白な水着を着たモデルがウォーク。フィナーレでは出演した女性たち全員がランウェイをパレードし、ブランドのアイデンティティを集約した記念すべきショーは、華やかに幕を閉じた。