ルイ・ヴィトン(LOUIS VUITTON)の2015-16年秋冬メンズ・コレクションがフランス・パリで発表された。ファッションデザイナー、クリストファー・ネメスがこの世を惜しまれつつ去ってから5年。今シーズン、同ブランドはクリストファー・ネメスの生前の作品と彼自身の人生に捧ぐコレクションを創り上げた。
クリストファー・ネメスはイギリス生まれのファッションデザイナー。ロンドンから東京へと拠点を移し、独自のクリエイティビティとクラフトマンシップを磨く中で多くのデザイナーを始めとする人々を魅了した。そんな彼の名を冠したブランドのアイコニック的な柄こそが、編まれた「ロープ柄」。そう、今回のコレクション内で印象的に繰り返し用いられた柄だ。メンズ スタイル・ディレクター、キム・ジョーンズによって再解釈されたネメスの柄は、ファーストルックからピーコートやオーバーコート、そしてクルーネックのトップス……と果てなく続く。
ロープ柄以外にも、イギリスのロッカースタイルを思わせるカフェレーサージャケットやラバーソールのシューズ、またイギリスを代表するプリンスオブウェールズ(グレンチェック)のトレンチコートなど、ネメスの生まれ育った国を思わせるアイテム使いが目立つ。
そしてネメスが愛した日本。この日本らしさを思わせるルックも登場している。なんとブラックのデニムジャケットとパンツには、日本の和紙を表現したロープ柄が。その半生を日本で暮らしたネメスへ捧ぐ、秀逸なデザインだ。
アクセサリーとして、ダミエ・パターンのバッグにもロープ模様が。これこそルイ・ヴィトンのアイコニックな柄とネメスの柄のコラボレーションを体現したアイテムと言えるだろう。最初から最後まで、彼の存在を感じさせたコレクション。自分にここまで敬意を捧げた服作りをしたキム・ジョーンズに、ネメス自身も微笑んでいるに違いない。