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これまでパリ中心街から少し離れた場所で、公式スケジュールながらどこかアンダーグラウンドな雰囲気のショーを見せてきたユリウス(JULIUS)だが、2015-16年秋冬の発表場所に選んだのはメジャー感の強いパレ・ド・トーキョー。近年、ユリウスの欧州での人気はうなぎ登りで、いよいよメジャーを意識したショーをやるのかな……と思ったのもつかの間、やはりユリウスはユリウスであった。
今シーズンのテーマは「Sphere(スフィア＝球)」。人間の体のラインを超越した“球体"をコレクションの中に落とし込んでいる。最初にランウェイに足を踏み入れたのは、コクーンシルエットというよりはコクーン(繭)そのものの純白のダウンに身を包んだモデル。もはや人間には見えず、巣から頭を覗かせた蚕のようだ。球体の姿形は多彩で「部分的に肥大した瘤や奇跡的に肥大した筋肉を洋服の中で表現している」(堀川デザイナー)。アウターはもちろん、レザーのショートパンツさえも、カボチャのように丸みのあるシルエットになっている。
その球体を支える役割を果たしているのは、極端に細いシルエットのスキニーパンツと、ロングブーツ、ロンググローブ。また、肩線を極端に張ったコンケーブも良く見られた表現のひとつ。通常はジャケットに採用するディテールだが、ニットやカットソーに落とし込んでいるのが面白い。
カラーパレットは、ホワイト、ブラック、ベージュの3色のみ。髪はポマードでオールバックに撫でつけている。球体という変化球に目を奪われるが、俯瞰すればなんともユリウスらしい独創的なコレクションだ。
Text by Kaijiro Masuda(FASHION JOURNALIST)
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