メゾンマルジェラ 2015年秋冬メンズコレクション - アンチノミーが奏でる心地よい不協和音

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メゾンマルジェラ(Maison Margiela)の2015-16年秋冬メンズコレクションがパリで発表された。

今回のショーを一言で表現するならば、二律背反。対立する2つの概念が、ときに融合し、ときに離散し、今にも崩壊してしまいそうなこのテーマが、見事にショー全体の調和をとっていた。ワインレッドの背景に美しく浮かび上がるワードローブのカラーパレットは、ダークカラーからビビッドなカラーまでさまざま。ショーが展開されるにつれて移り変わる色遣いも、本コレクションのテーマを感じさせる、不協和を奏でているようだった。

一言で二律背反といっても、その中身は多種多様。ノスタルジックと進歩、ハンドメイドとインダストリアル、最大と最小、刺激と平穏、シンプルとコンプレックス、リアルとフェイクなどあらゆるフィルターを通して洋服が構築されていた。

ショーの前半は光沢のあるレザーのアウターとシンプルでワイドなトラウザーが目を惹くルックが中心に登場。ミニマルな美しさの中に、ポケットの意外なディテールや、インナーとシューズの色使いなど、美しい融合が感じられるコレクションの始まりだった。スリムなシルエットのテーラードジャケットが高級感を漂わせるルックに続いて登場したのが、コートの腰あたりのワンポイントとインナーの模様が印象的な、ロックテイストを思わせる着こなし。パンツの光沢がダークカラーの印象をワントーン上げ、絶妙なバランス感覚を思わせる装いとなった。

中盤以降は、鮮やかな色合いのコーディネートが多く登場。柄と色の使い方が、見ているものの想像を超えるような範疇で繰り広げられていた。レッドのニットウェアとノーマルなスラックスを合わせた、一見シンプルなルックでは、裾と袖にさりげなく紐がついていたり、カラフルなペンキが塗られている手に、大ぶりなリングを着用していたりと、単純さの中に複雑な演出を交えていた。

グレーのチェスターコートとブラックのスラックスが気品を放つコーディネートでは、コートの襟と袖にきりっぱなしの加工が施され、未完成の要素をプラス。インナーのカットソーの袖は、手が全く見えないほど長く、スマートな装いにマルジェラらしい遊び心がプラスされていた。