2015年4月11日(土)から6月28日(日)まで、「他人の時間」展が東京都現代美術館で開催される。
アン・ミー・レー 《被害対策訓練、米国艦船ナッシュビル、セネガル(「陸上の出来事」シリーズより)》 2009
本展は、アジア・オセアニア地域の若手を中心とした約20名のアーティストの作品を紹介するもの。展覧会はシンガポールやブリスベンへと巡回し、国内では東京の他に大阪の国立国際美術館に巡回する予定だ。
世界のあらゆる地域を渡りながら開催される本展は、一見それらの地域の共通項を見つけて一括りにして紹介するもののように思えるが、実際はそうではない。むしろ、他者との境界線を揺るがし続ける、“隣り合った”歴史が、いかに作用し合いながら存在してきたのかに着目している。
現代社会を見る上でも、つながりと分断の関係は変化を続けている。情報やモノの移動が素早くできるようになり、遠くの人とも繋がることができるようになった一方、プライバシーの強化や排他主義など、他者への無関心による分断の広がりも大きくなるばかり。同じ時代、時間を生きていながら、自分とは関わりを持たない「他者」との関係。自分と他者の間には、いったい何が存在しているのか。何がその分断を生じさせ、逆につながりを生んでいるのか、それらの関係性に注目した展覧会だ。
ブルース・クエック《鏡の回廊 東南アジア・レポート》2012
展示の見所としては、アジア・オセアニアの若手アーティストの作品が中心。各国、各地域の歴史やアイデンティティを探る展示や、自らの過酷な労働環境をユーモラスに表現した展示など、現代を振り返るのに十分な重たいテーマを軽快な切り口で提示する作品が多く登場する。
ほかにも、「他人」との関係性を新たな視点で見つめることで、今ここに生きる「わたし」のあり方を考えるきっかけとなる作品を展示。さらに、期間中には、テーマに沿ったイベントが多数開催される見込みだ。
各国の歴史や関係性を紐解きながら、現代人がまさに直面している「他人の時間」について真正面から向き合った本展に、ぜひ足を運んでみては。
【展覧会概要】
「他人の時間」展
会期:2015年4月11日(土)〜6月28日(日)
開館時間:10:00〜18:00(入場は閉館の30分前まで)
場所:東京都現代美術館 企画展示室1F
住所:東京都江東区三好4-1-1
観覧料:一般 1000(800)円、大学生・65歳以上 800(640)円、中高生 600(480)円、小学生以下無料
※()内は20名以上の団体料金
■巡回予定
国立国際美術館
期間:2015年7月25日(土)〜9月23日(祝・水)
住所:大阪府大阪市北区中之島4-2-55