プラダ(PRADA)の2017年春夏メンズコレクションが、2016年6月19日(日)、イタリア・ミラノで発表された。銀色の鉄格子で全面を囲われた会場は、原色やショッキングピンクなどの光で未来的な空間に。ランウェイは、斜めの上り坂に設定され、一体どんなワードローブが披露されるのか、時とともに期待が高まる。
ファーストルックを飾ったのは、ステンカラーのジャケットと同色のパンツを着用した、セミフォーマルな印象のスタイル。しかしそこに合わせられたのは。まるで山登りにでも行くかのような出で立ちの大きなバックパックだ。足元には長めのソックスにサンダルをミックス。動きやすいバランスでありながら、重々しい雰囲気は感じさせない、程良い調律が心地良い音色を届ける。
バックパックは、それ自体だけの魅力に止まらなかった。中央には、小さなレザーのハンドバッグをくくられ、その脇にはレインブーツやドレスシューズ、ピンヒールが括り付けられている。それはまるで、都会の街からそのまま“山”へ向かう生活が垣間見えるような、もしくは都会自体がトレッキングの目的地であるかのようなイメージを観衆に届ける。
ショーが終盤に差し掛かると、服装はアウトドアから、シングルのセットアップのようなフォーマルスタイルにシフト。カラーリングは落ち着きを見せ、より“アーバントレッキング”と表現にぴったりなコーディネートが披露される。
近未来的な空間で自然を想像させるアイテムを多用し、しかしながら、ディテールのバランスで、都会へと引き戻される感覚。相反するアーバンとカントリーのニュアンスを、ぶつかることなく美しくミックスしたコレクションが完成した。