ロンドンにて、メアリー カトランズ(Mary Katrantzou)が2012年春夏コレクションを発表した。テーマは「Nature versus Nurture」。人工的な美と自然の美のコントラストに着目し、「完璧に形作られた工業製品」と「自然界に存在する厳格な規則性」の両方の中に美しさと残忍さを見出したという。そんなカトランズがイメージしたのは、例えば「つぶれたキャデラックと野生の花畑が大西洋の底で偶然な出会い」。対極的な二つの美がごちゃまぜになりながらも、完璧なシナジーを見せた。
シャープなラインのミニドレスを、シフォンのオーバースカートがドラマティックなトレーンをなびかせながら優雅に包み込む。様々なプリントや色彩を組み合 わせたアシンメトリーなデザインのドレス達はまるでアートピースのよう。立体的な刺繍やビーズ、フリンジでラグジュアリーに彩られ、足元はクリスチャン ルブタンのジュエリーのようなヒールで決まり。
オレンジ、ブルー、イエロー、ピンク、パープル、グリーンと、今季も鮮やかなカラーパレットが弾けるハイパーリアルプリントは、「人工」を表現したブリキ缶やメタルドラム、車のパーツのプリントや、「自然」を象徴する魚やカエル、鳥の羽根やサンゴ礁、桜の木などが散りばめられ、まるでカーチェイスのようにドレスの上で華やかに競い合った。
花々の繊細な美しさととメタルが持つ強さを秘めた美しさのように、対極的なふたつの美が奏でるハーモニーが、斬新な美しさを生み出したメアリー・カトランズのコレクション。ロンドンファッションシーンをリードする若手デザイナーである彼女の美への追求は、今季も留まることを知らない。