TOGA(トーガ)の2017年春夏コレクションがイギリス・ロンドンで発表された。
ファーストルックに登場したのは、“水たまりのような”形のシリコンをランダムに配した白いブラウスと、“水に濡れたような”光沢をもつエナメルパンツ。腕にはレザーのアームカバーを装着して、クリアなサンダルで不自然な透明感を醸しだしている。今シーズンのテーマは「流動」「自制」「解放」。ファーストルックだけでもこの3つの言葉の要素が詰め込まれている。
「流動」を表すのは水の要素。先に述べたシリコンはポケットとして至るところに現れる。鮮烈なブルーは滑らかな素材がゆえ、水に似た予測不可能な光の反射を生み出す。スタイリングも変幻自在。ある一方向からでは予測できないまでの前後左右アシンメトリーな形状が特徴的である。
相反する「自制」は、ボンテージのディテールやベルト使い、帯のようなトップスに見られる。身体を絞めるだけでなく、何かと何かを結び付ける役割として用いられ、「流動」や「解放」との均衡を保つことで女性らしいスタイリングを築く。
流れる水の自由さを引き継ぐ「解放」。それを表す肌の露出が、最も顕著に現れたのは平面的なワンピースだろう。前から見ると一枚の布が前身頃に張り付いたような形だが、後ろはクロスしたベルトとヒップ部分を隠すスカートのみ。前衛的なデザインながらもマニッシュな伝統的チェック柄を用いて、「解放」の中にも「自制」の意を含ませている。
同素材のジャケットは「解放」と「自制」のバランスのとれた好例。袖と身頃を結びつける拘束的な太いベルトがある一方、ラペルの高い位置に配されたボタンひとつを留めればフロントが開く大胆なフォルムだ。
流れる水は女性の持つ艶やかさを表現し、解放された肌の露出によってその艶やかさは官能的な情緒をも暗示する。相反する束縛の要素は隠すことで体のラインを如実に浮かびあがらせ、また異なる角度から女性らしさを肯定しているようにも感じる。