2011年10月20日、アライサラ(araisara)が2012年春夏コレクションを発表した。『昇-SHO-』をテーマとして掲げ、夜や曇りの日でも、姿はなくともそこにありつづける太陽の光を元に今回のコレクションが制作された。絶対的な太陽の存在から出発し、洋服の存在意義を考える中で、デザイナー・荒井沙羅が辿り着いた答えは“着心地と素材のよさ”。シルクやコットンといった天然素材にこだわり、色ではなく素材の段階から、涼しさと着心地を追求したという。
繊細な染色技術が生む美しいディテールが目立つが、ブラックをメインカラーとして、モダンな印象にまとめられている。先シーズンに引き続き、手描き友禅染や墨流し染めといった日本の伝統技術を多く採用。今回は、新たに小麦粉を素材に塗り、それを乾燥させてできるひび割れが地模様を生み出す『一珍染め(いっちんぞめ)』と木型に生地を挟み込んで染色することで偶発的な模様を生む『板締め絞り(いたじめしぼり)』の技法も取り入れた。
一珍染めを施した生地のパーツをを幾何学模様のように組み合わせたブラックドレスは、自然が織り成す必然性と偶然性の調和を表現している。フィナーレを飾ったブラックドレスは、軽やかな素材に施された白い円形模様がまるで木漏れ日のよう。これは板締め絞りによって生み出されたものなのだそう。素晴らしい伝統とクリエイティビティに溢れた日本の伝統技術に再びスポットを当て、凛とした現代女性に向けて作り出された、優美なコレクションだった。