プラダ(PRADA)がイタリア・ミラノで発表した、2017-18年秋冬ウィメンズコレクション。
ショー会場のコンクリート壁には、カラフルなポスターが貼られていた。同じビジュアルが連続で何度も、時に大小様々なサイズがミックスされランダムに配されている。来場者用の座席近くには小さなランプが灯され、シートそのものがベッドになっている所もあり、誰かの部屋を覗いているような心地よい空間に包まれていた。
ミウッチャ・プラダが今季目指したクリエーションもまた、家庭的で居心地のよいものである。ショーにはマフラーや手編みのニットブラなど、温もりのあるピースが登場。また、ジャケットやカーディガンのボタンにはハンドペイントが施されていたり、ココナッツの素材が用いられていたりして温かみを感じさせる。
エスキモー風のブーツやファーハット、アンゴラのコート、北欧テイストのニットのセットアップ。スカートやコートには、絵画風のタッチで描かれた花模様を添えた。また、レザーコートやドレスの上で花開いた立体的なボタニカル刺繍や流れるようなビーズ刺繍は、繊細で女性的な手仕事を感じさせる。プラダには珍しくロングドレスが提案されているのも、上品なフェミニニティが意識されている象徴のように映る。
そういった柔らかなピースと対峙するのは、プリントアイテム。会場に貼られたポスターと連動したモチーフは、60年代に活躍したロバート・マクギニスの作品から。『007』や『ティファニーで朝食を』などハリウッド映画のポスターを手掛けたロバートの鮮やかな色彩選びとハッキリとした線のタッチがドレスの上で蘇り、オードリー・ヘプバーンも当時の輝きのままファッション界のアイコンとして息を吹き返している。