2012年3月27日、ノクターン ナンバー22 イン シー シャープ マイナー オプト ポッス(Nocturne #22 In C Sharp Minor, Op. Posth.)の2012年秋冬コレクションが発表された。今季のテーマは「ZIP(ジップ)」。ショーは、ソファや壁紙などが赤で統一され、シャンデリアやミラーボールがきらめくゴージャスなクラブで行われた。
赤や青のカラーライトが点灯し、ミラーボールが回り出して会場の雰囲気が大人っぽくなったところでショーが始まった。テーマをジップにした経緯を「古着(=過去)とこれから作られる服(=未来)をつなぎ合わせる役目としてのジップ(=今)を表現したかった」と語るデザイナーの鈴木。ウールやコットン、ナイロンなど古着にもよく使われるベーシックな素材を使用しながら、ジップを服のアクセントとして、また素材を組み合わせる黒子として使用した。
コレクションのテイストは一貫してパンキッシュ。カラーパレットも赤や黒、カーキ、ショッキングピンクにタータンチェックなどパンクそのものだ。ジップはそこに、チェック同士を組み合わせるものとして、チェックのスカートと黒のパンツを組み合わせるものとして、あるいは単にアクセントとして、様々なディテールに取り入れられている。そして「シンプルなものが好き」と語る鈴木が、今回アクセサリー感覚で取り入れたのは会場のスクリーンに映し出される言葉たち。意味を深く考えるのではなく、自分の好きな言葉を感覚で取り入れて装飾を楽しんだという。
今回、Hiroyuki Watanabeという若手デザイナーのショーも同時に開催した。その理由を「アンダーグラウンドから這い上がっていくという気持ちを応援したい。そして自分も這い上がっていくあのハングリーな精神を忘れたくない」と語った。その気持ちの強さが会場をアンダーグラウンドにあるクラブに設定した点にも、パンキッシュなテイストを全面に押し出した点にも表れている。彼女の強さと服作りに込める熱いこだわりを感じさせるコレクションだった。