パスカル・ドンキーノ(PASCAL DONQUINO)の2012-13年秋冬コレクションでは、伝統的な服作りを受け継いだデザインと、機能性を考慮した斬新なアイディアが融合している。カラーパレットにはベージュやオフホワイト、ブラウンなどの柔らかな色を使用。素材にはウールやフェイクレザーの他に、耐水性があり風も防ぐベンタイルが使われている。トラディッショナルなメンズアイテムで統一されているが、どれも優しい印象だ。
注目は、アメリカのベンチャー(venture)社のメタルファイバーヒーティングシステムを採用したヒートジャケットとヒートベスト。左胸のボタンを押すと服全体がすぐに温まる仕組みとなっている。充電式のバッテリー内蔵で、温度は3段階で調節可能。アウトドアはもちろん、スーツのインナーに着用することもできるほど軽く柔らかい素材で、寒い冬の外出も快適に過ごせる。
ハンティングジャケットは、1920年代のパターンを再現して作られた一着。ハンティングの際の機能性を考えて施されたディテールまで忠実に再現され、フランスの歴史あるワークウェアの工場で縫製され作られたもの。デザイナーの武内が「服好きにはたまらない一着となっているはず」と語るテーラードジャケットは、機械にはできない人の手による繊細な服作りを意識し、シガーポケットなどの内側の仕立てまでこだわりぬいた。
服に対する独自のこだわりを貫くパスカル・ドンキーノ。伝統的なデザインの中に現代の技術を織り交ぜつつ、ノスタルジックな世界観を表現したコレクションとなった。