ヴェトモン(Vetements)の2019年春夏ウィメンズコレクションが発表された。
メンズ・ウィメンズの合同ショーで披露された2019年春夏コレクション。デムナ・ヴァザリアが繰り出すビッグシルエットの中で、今季最も特徴的に取り入れられたのはパワーショルダーだろう。ノスタルジックなフラワープリントのドレス群には、肩パッドのようなディテールが採用されていて、大げさにデフォルメされたショルダー部分からはマントのようなシルエットが生み出されている。
パワーショルダーを取り入れたのは、ラグジュアリーなドレスやテーラードジャケットが中心。本来ならばフォーマルな場面で着用するはずの装いが、デムナの手によって新鮮な表情を纏ったストリートウェアへと昇華されている。
もう1つ特筆すべき点は、コレクション全体に漂うダークなムード。前述のフラワープリントやビビットな色彩の合間に、カモフラージュ柄を採用したフィールドジャケットとミニスカートのセットアップ、スタッズを飾ったハイカットのワークブーツ、顔面をしっかりと覆うマスクなど、戦争を連想させるアイテムが現れるのだ。
アイコニックなオーバーサイズのフーディーに配した異国の文字、国旗のようなモチーフも、そういった軍人風のアイテムとスタイリングすることで、どこか不穏な空気を放っている。
そんなダークな雰囲気の中、ショーのラストを飾ったのは、意外にもウェディングドレスを彷彿とさせるホワイトのピースだ。それは暗雲に差し込む一筋の光のようで、デムナからのポジティブなメッセージのようにも思えた。