シャネル(CHANEL)の2019/20年リゾート コレクションで、ヴィルジニー ヴィアールが描いたのは冒険の旅。会場となったグランパレは、エレガントなカフェレストラン「ル リヴィエラ(Le Riviera)」を備えたパリの駅舎に姿を変え、旅の出発点として多くのゲストたちを迎えた。
旅だからと言って、ただアクティブな服を纏うわけではなく、愛らしさや気品といった女性ならではの装うことへの探求心は忘れない。これはつまり、旅や日常生活において、自分らしく過ごすことができる快適さと機能性、シンプルでありつつエレガントさも追い求める、従来のシャネルのスタイルの体現へと繋がる。
旅へと向かう女性たちは、鉄道のユニフォームから着想を得たダブルブレストのジャケットとワイドパンツを着こなしていたり、フード付きのトレンチコートをざっくりと羽織っていたり。マニッシュなそれら装いには、チェーンベルトやフリルのコットンブラウスでフェミニンさをプラスして、快活な旅を楽しむ。足元は強気なパンプスで堂々と女性らしく歩を進めていく。
そして、シャネルのツイード ジャケットは、“冒険心”に溢れた様々なスタイルで登場。ポケットは2つ、4つ、または6つ、襟付きまたは襟なし、シングルまたはダブルブレスト、ショート丈またはロング丈、柔らな丸みを帯びたショルダーや、対照的にスクエアで体にフィットしたショルダー、ブレードをあしらったものなど実に多彩に表現されている。
旅の服に欠かせない着心地の良さは、柔らかに体を包み込みながら、ツイードを引き立てるシルクの裏地が叶える。そして、裾に這わせたチェーンはシャネルのジャケットに見る“美しさの秘訣”として長年変わらぬものだ。
ドレスルックは、シンプルで身体の動きを開放するようなシルエットの提案がメイン。バイアスカットやアシンメトリーなパターンは、フェミニンかつエレガンスなムードを引き立てる要素となった。ティアードフリルや大きいリボンは自由でプレイフルな遊び心へと繋がり、サテンのリボンや白いカメリアのブローチは、華やかな旅のドレスを一層可憐なものへと昇華する。