アレキサンダー ワン(ALEXANDER WANG)2013年春夏コレクションのキーテーマは、「テンション」と「サスペンション」。エンブロイダリーやアイレットなどの加工、半透明のフィッシュワイヤーといった変わった素材を組み合わせることで、切り分けられたパーツを構造化している。まるでボディの上で“浮遊”しているような錯覚を起こさせるルックが新鮮だ。
ホワイトとブラック、シルバーといったカラーパレットのクリーンな印象とは対照的に、生地にはアニマリスティックな要素が散りばめられた。特殊な刺繍でクロコダイル柄を表現したドレスや、大きなアイレットで描いたゼブラパターンなど、シンプルな素材をグラフィカルに変形させている。
ブランドのシグニチャーであるスポーツウェアからインスパイアされたニュアンスは、今季も健在。ボックスシルエットのトップスや膝上のショートパンツなどに感じられる一方で、パーツの間から透けた肌が軽さとセクシャルな雰囲気をプラスした。
ビーチバッグとイブニングクラッチを融合させたバッグや、甲と膝下のストラップを離して配置することで骨組み部分があらわになったようなイメージのブーツやサンダルも、遊び心に溢れている。素材の組み合わせや加工といった新たな試みに、時代のムードを的確に捉えた視点が感じられた今回のコレクション。トレンドを牽引するデザイナーとして着実な成長を遂げるアレキサンダー・ワンの未来に、さらに期待が高まりそうだ。