ヴァレンティノ(VALENTINO)の2020年春夏ウィメンズコレクションが、2019年9月29日(日)、フランス・パリで発表された。
今シーズン、クリエイティブ ディレクターのピエールパオロ・ピッチョーリが向き合ったのは、ヴァレンティノが誇るクチュールの技術を最大限に生かした洋服のシェイプとボリューム。このテーマをより一層引き立てるため、絵画をモノクロームで描く「グリザイユ」という画法にインスピレーションを得たアプローチを取った。
そのことはショー序盤に続々と登場する純白のドレス群やシャツが証明している。色や柄、華美な装飾をあえて排除し“引き算”することによって、洋服のフォルムを浮き彫りにしたのだ。
フリルを幾重にも重ねたりギャザーを寄せたりすることによってボリューミーなスリーブを生み出したドレスや、布をたっぷりと使ったパフスリーブのシャツドレスは、素材までもがコットンという普遍的なファブリックで統一されており、ヴァレンティノのクチュール技術が持つ表現の豊かさを推してくれる。
純白の世界に変化が訪れるのは、ハッとするほど鮮やかなネオンカラーのミニドが現れてから。カラフルな色彩や煌めく装飾が徐々に顔を出し、エネルギッシュな花々や草木、野獣を描いた躍動感のあるパターンがドレスに落とし込まれた。
それでもラストを飾るのは、やはり今季を象徴するホワイトのドレス群。ネオンカラーを効かせた力強い植物の刺繍のドレスや、チュールを複雑に手繰り寄せたドレスで今シーズンを締めくくった。