ヨーク(YOKE)の2020年春夏コレクションは、ドイツ出身のアーティスト、ヨゼフ・アルバース(Josef Albers)から着想を得た。
ヨゼフ・アルバースといえば、幾何学的な色面構成で表現する「正方形賛歌」で名を馳せるアーティストだ。ごくシンプルな幾つかの正方形が重なる抽象的絵画は、トーンオントーンの配色によって見るものを引き込む。図形がもたらすその魅力をワードローブに落とし込んだのが、今季のヨークのコレクションだ。
そもそも、洋服も複雑な図形の組み合わせから成り立っているもの。図形をアレンジすることで、新たな発見が生まれるという点は、きっとヨゼフの絵画とも通じるものがあるだろう。
例えばクラシックなステンカラーコートは、簡単に変形することができ、バックは首元までスリットが入っておりボタンで留めたり外したりしてアレンジすることができる。脇は敢えて繋ぎあわせることをしていない。ドレープの効いた軽いトレンチコートは、ノースリーブのロングベストコートに、ノーカラージャケットを組み合わせるような仕組みになっている。
カーディガンは真四角なシルエットで、ファブリックにもストライプやチェックなど、とにかく“正方形”を意識させるニュアンスが多用されている。ポケットはわざと正方形を強調するように、“四角”が飛び出した設計。アウトポケットともまた異なり、ポケットの下部は服から浮いている。さらにトップスは、サイドにリブ素材を忍ばせて、パターンを強調。細やかなところまで、ヨゼフのアートが根付いている。
彼が愛したボタニカルなアートもまた服へと投影。あえて色は控えめにして、アースカラーで提案する。ジャケットやハーフパンツは、春夏の爽やかな風とも呼応するリネンの軽やかさが魅力だ。
そして、今季はこれまでメンズ・ウィメンズを境なくユニセックスで展開してきたヨークが、初めてウィメンズオンリーのアイテムを提案。大きく雰囲気を変化させた。ウィメンズもメンズと同じく、ヨゼフのアートをモチーフに、直線に着想を得たストライプのワンピースや、色の魅力を重ね合わせたシースルーのニットなどを展開している。