マメ クロゴウチ(Mame Kurogouchi)の2023年リゾートコレクションが発表された。
デザイナーの黒河内真衣子が今季のインスピレーション源としたのは、白く染まる冷たい大地に生息する「丹頂鶴」の佇まいだ。鶴は、その優美な体躯と静謐なムードから、古代より日本をはじめとする様々な文化圏で“神聖視”されてきた生き物。今シーズンは、美しさと儚さ、そして強さが共存する鶴の姿に、マメ クロゴウチが考えるクラシカルな女性像を重ねたのだという。
鶴のインスピレーションは、様々な柄やシルエット、カラーパレットに投影されてゆく。その最たる例が、丹頂鶴を彷彿とさせる赤・白・黒のパレットで彩られたワンピースだろう。雪のように純白なファブリックを染め上げる、鮮烈な赤。伝統的な有松絞りのグラデーション染めによるこの表現によって、まさに鶴のような繊細さと凛とした強さが引き出されている。
しっとりとした質感のシルクレーヨンの生地にクローズアップすると、そこにはジャカードで織りあげられ、艶やかな光沢を纏った鶴の姿が浮かび上がる。描かれているのは、越冬のために旅し、求愛を行う丹頂鶴の優雅なダンスの様子だ。これら鶴のモチーフは、ドレスやジャケット、シャツにあしらわれており、コレクションの静かで優美なムードを高めている。
また、飛び立つ丹頂のイメージから“千鳥格子柄”のアイテムも登場。リネンのノーカラージャケットやドレスには大小さまざまな千鳥格子柄を組み合わせて配し、モノトーンのパレットでシックな表情を引き出した。
女性の美しさを最大限際立たせる、マメ クロゴウチらしい優美なシルエットは今季も健在だ。たとえば、ノースリーブのロングドレスは、曲線的なラインで胸元を深く切り込み、上品な色気を演出。ツイードジャケットの袖は、手先に向かって徐々に広げることで、エレガントかつしなやかなラインに仕上げている。