マックスマーラ(Max Mara) 2024年リゾートコレクションが、スウェーデンのストックホルム市庁舎で発表された。女性で初めてノーベル文学賞を受賞したセルマ・ラーゲルレーヴを生み出した国であり、そしてこの土地に根付く伝説や古典神話、民俗学に惹かれ、神秘と魔法で包みこむようなコレクションを作り出した。
大きなインスピレーション源となったのは、夏の訪れを祝う、スウェーデンの民俗祭・ミッドサマー。その最も魅力的な伝統のひとつが、今季のキーワードにも掲げられた「セプテム・フローレス(Septem Flores)」だ。“7種の野花”の意を表すこの言い伝えは、定められた7種類の野花を全て見つけた幸せ者が、それを枕の下に置いて寝ると、将来の恋人の夢が見られるというロマンティックなもの。そんなミッドサマーの草原に咲く野花が、今季のキーモチーフとなり、幻想的な世界へと誘う。
コレクション全体に流れるのは、どこか非現実的な空気を内包する、フォークロアなムード。それを顕著に表すのは、アイボリーや黒を基調にしたシンプルなパレットに浮かぶ、ブレードやポンポン、タッセル、スタッズといった民族的な装飾だ。
例えばマックスマーラのアイコニックなテディベアコートは、ゆらりと揺れる大振りなタッセルと、メタリックなスタッズを加えてアップデート。またフリンジをたっぷりと重ねたケープや、ハイネックのニットウェアには、北欧らしいアイキャッチな編み模様をあしらい、温もりのある表情へと昇華させている。
しかし同時に、現代的な要素をしっかりと融合している点についても忘れてはいけない。前述したフォークロア調のアウターの下には、極めてシンプルなタンクトップやシャツ、アクティブなショート丈のパンツなどをコンビネーション。程よく光沢のあるクリーンなファブリックが、より一層都会的なムードを高めてくれる。
また直線的なカットを加えて、モダンに再解釈したフォークロアブラウスや、クラシカルなジゴスリーブを、異素材&ドロップショルダーで表現したニットワンピースなども登場。さらに今季を象徴するフラワーモチーフは、時にモノクロームグラフィックとなって、カットソーやワイドパンツの上に。ロマンティックなオリジナルのモチーフとは逆説的に、コレクション全体にリズムをもたらす役割を担っている。
そしてショーのラストは、ミッドサマーの伝統的な衣装を連想させるフラワードレスが会場を席巻。その華やかさはそのままに、軽やかなシアー素材、ジャンプスーツスタイルなど、伝統だけに縛られないフレッシュな着こなしを披露した。