青森県弘前市。父と暮らす青木美也子は、高校を卒業後、やりたいことが見つからず、家計を助けるためスーパーで働いていた。何をやってもうまくいかず自分に自信の持てない。そんな美也子だが、津軽塗職人である父の手伝いは唯一夢中になれた。しかし津軽塗で高い評価を受けていた祖父の後を継いだ父も、業界の斜陽と共に、津軽塗を続ける気力を失っていた。貧乏暮らしと父の身勝手さに愛想を尽かせて出ていった母、自由に生きる道を選んだ美容師の兄...家族はバラバラになっていた。そんな二人をよそに堂々と津軽塗の道に進みたいと公言できずにいる美也子だったが、家族や漆塗りと向き合うなかで、ある大きな挑戦をする。
第1回「暮らしの小説大賞」を受賞した「ジャパン・ディグニティ」(髙森美由紀著)が、鶴岡慧子監督により『バカ塗りの娘』として映画化。青森の伝統工芸・津軽塗=通称“バカ塗り"をテーマに描かれる。