パキスタンで2番目の大都市、古都ラホール。保守的な中流家庭ラナ家の次男ハイダルは、現在失業中だ。家父長制の伝統を重んじる厳格な父からの「早く仕事を見つけて男児をもうけなさい」というプレッシャーを受けていた。妻のムムターズはメイクアップアーティストの仕事にやりがいを感じ、家計を支えていた。ハイダルは、就職先として紹介されたダンスシアターでトランスジェンダー女性ビバと出会い、パワフルな生き方に惹かれていく。その恋心が、夫婦とラナ家の穏やかに見えた日常に波紋を広げる……。
映画『ジョイランド わたしの願い』は、パキスタンの新鋭サーイム・サーディクによる長編デビュー作。伝統的な価値観に縛られる若き夫婦が、自分らしく自由に生きたいと願い、揺れ動く姿を繊細に描き出す。第75回カンヌ国際映画祭では、「ある視点」部門審査員賞、クィア・パルム賞を受賞した。