イッセイ ミヤケ(ISSEY MIYAKE)が、2014-15年秋冬コレクションを2014年2月28日(金)に、パリファッションウィークで発表した。
会場が暗くなると、ランウェイの奥で、Open Reel Ensembleの和田永とYanékaのChiyakoの生演奏が始まる。ギターの弦をバネに付け、その先にある缶を通じで奏でられるバネギターの音色は、美しく神秘的。そこへ、全身黒のタイトな服をまとったモデルたちが次々と姿を現した。今季はシックだな……と観客を思わせた矢先、モデルたちは手にしていた半円型のバッグから、プリーツ加工が施されたカラフルで立体的なドレスを取り出し、自ら服をまとい始めた。
宮前義之が手掛ける今シーズンのイッセイ ミヤケのテーマは「Rhythmatic Forest -森の鼓動- 」。森が持つ雄大な造形美にインスパイアされたコレクションは、そそり立つ樹木、大地を覆う根、永い年月を刻む年輪の重なりを、独自の技術である「リングプリーツ」と「3Dスチームストレッチ」を用いて表現する。
見どころは、これまでにない曲線を描いたプリーツ加工。ダイナミックなフォルムのドレスは、みな平面に置くとコンパクトな円形へと姿を変える不思議なデザイン。様々な方向へうねるプリーツが施されたドレスやジャケットの、その造形美には圧倒させられる。
パレットは美しく色づき始める、秋の紅葉をイメージ。色とりどりの鮮やかなストライプを組み合わせたジャケットやパンツは、伝統的な捺染技術を応用した「積層プリント」で仕上げたもの。特殊樹脂を幾重にも積むことで凸凹とした質感を生み出している。
そして今季、多くの観客を驚かせたのは「生命の宿る服」であろう。赤紫、茶、グレーのボリューム感のあるトップスは、ストレッチの効いたプリーツで歩くたびに波型のヘムラインが、ゆっくりと人の身体に合わせて揺れ動く。その動きは文字通り、服が人と寄り添って生きているかのように見えるのだ。
アーティスト、Chiyakoの透き通るような歌声とともに、笑顔のモデルたちがランウェイに並びフィナーレを迎える。客席からの大きな拍手は、宮前が観客に一礼した後も鳴りやまずに続いていた。