アンベル(AMBELL)が、2014-15年秋冬コレクションを2014年3月19日(水)に発表した。「BLACK SYMPHONY」と名付けられた今季は、アメリカの抽象画家、アド・ラインハート(Ad Reinhardt)の作品がインスピレーション源になっている。
あまめに織られたツイードやチェック柄のコートに、エレガントなフレアスカートを合わせるなど、ワードローブはシックで上品。しかしよく見るとその一着一着には、アド・ラインハートの作品を彷彿とさせる要素が隠れている。
「ブラック・ペインティング」と呼ばれる黒を基調とした画風は、黒字のシャツにさらに黒でプリントしたチェッカーズ模様や、太いリボンを編込んだドレスやスカートなどから分かる。ブラック一色のスタイルでも、素材の質感や色の濃淡で“黒の深み”を感じさせ、コンセプチュアルでアーティスティックな存在感を放っていた。
またラインハートの作品の特徴でもあるグリッドは、いたるところに格子柄として登場。赤×黒のギンガムをはじめ、ジャカード折りのブルーのタータンなどが、コートやドレス、そしてマニッシュなセンターシームパンツにも用いられた。また模様だけでなく、ポケットで表現した黒のグリッドも目立つ。ウレタンを使用したハリとツヤのある四角いポケットは、クラシカルな装いに多様されてシャープなアクセントになっていた。
デザイナーの門野文蔵が「彼のアート人生そのものに影響を受けた」と話す通り、コレクションは黒やグリッド以外にも、ミリタリーの紋章のスケッチや、色を使った作品などにもインスパイアされている。ジャカード折りにはチェックの上に、高貴な紋章の模様が重ねて描かれていたり、ツイードにはネイビーや赤が織り交ぜらたり。またマネキンたちのヘアーもボブで統一し、大量にピンを着けることでメタルのヘルメットをイメージさせた。