クリスチャン ダダ(CHRISTIAN DADA)の2014-15年秋冬コレクションが東京・新宿区の小笠原伯爵邸で発表された。
昭和初期に建てられた歴史的建造物が、クラシカルな雰囲気とは対極的な雰囲気の激しい音調の大音響に包まれる。前髪を長く垂らしたパンキッシュなヘアメイクのメンズモデルが、ボリュームたっぷりのファージャケットにスキニーなバイカーパンツという出で立ちで、この邸宅を早足で練り歩いた。
「ありふれたテーマにしたくて、また自分のキャリアがスタートした地ということから、“ロンドン”にした」とデザイナーの森川マサノリ。コレクションのタイトルは「インフィニティ」と名付けられており、これは西陣織やファーといった有限な資源である素材や、いつかなくなるカルチャーといった無限にはないものをフィーチャーすることで表現している。
彼の第2のルーツである、ロンドンの代表的なカルチャー、モッズやテッズ、パンク、ロッカーズといった複数の要素を織り交ぜたという今回のコレクション。超細身のミリタリーコートやテッズっぽいピチピチの赤のスーツ、丈の半分がカットされたバイカージャケットなどがその代表格。リングがいくつも下がったチョーカーやレディース様なブラウス、ワンピースのように長いニットにプリーツのレイヤードなどで、観客の意表をついてきた。
やはりクリスチャン ダダと言えば「ブラック」の印象だが、今回はそれに加え、ユニオンジャックのカラーである赤と青、白も差し込まれている。ブランドの象徴であるエレガントなエンブロイダリーはもちろんだが、チェックはプリントだけでなく西陣織でも製作し、日本の伝統技法を独自の美意識に落とし込んでいるところも忘れてはならない。
最後は、ゴールドとブラックのチェックの、まるで袴のようなバギーパンツのルック先頭に、ユニオンジャックのタンクトップを揃いで着たモデルたちが行進し、フィナーレ。ショー当日、30歳の誕生日を迎えた森川。記念すべきこの日に、暫くは東京でのショーは予定していなく、2015年春夏シーズンからはメンズ、レディースとパリで発表する予定だと宣言した。東京で観れなくなるかと思うと名残惜しい気もするが、ネクストステージでの更なる活躍に期待したい。