コグノーメン(COGNOMEN)の2024年春夏コレクションが、2023年7月14日(金)に東京・大井ホッケー競技場にて発表された。テーマは“empathy(共感)”。
今期のコグノーマンは、初陣となった前シーズンに続き、デザイナー・大江マイケル仁の嗜好の中軸であり最大のインスピレーション源であるフットボールから派生した様々をコレクションに落とし込んだ。とりわけ、日常やサッカーの試合中に限らず、あらゆるシーンにはドラマが潜んでいるということに着目。そこに気付かせたのは、他でもないサッカーの試合終了後にユニフォーム交換をする選手たちの姿だったという。そして今シーズンは、その熾烈な戦い後に広がる世界を表現した。
先に述べたシーンから見出される魅力、抽出された解釈は、ウェアの至る所に見られる。たとえば、異なる体型の選手間で交換されたユニフォームは、着た時にそれぞれアンバランスなシルエットを生み出すことに着想を得て、身体のシルエットを隠すようなボリュームのあるポンチョや、袖も丈も長いシャツが展開された。また背中が覗き見えるくらいショート丈のシャツは、大柄な選手から小柄な選手へとウェアが渡ったことを示す。
選手たちが身につけるアンダーシャツやトレーニングウェアには、無数のサインが書き込まれている。アンダーシャツやパンツは身体にぴったりと沿い、実際のスポーツシーンと同様レイヤードスタイルで繰り返し提案された。またこれらのアイテムは、試合後の10分間だけ目にすることができる選手たちの開放的で試合の緊張感が抜けたかのような雰囲気を内包させているようにも思える。
異なるカラーを入り混じらせたストライプのニットシリーズも目を惹く。ロッカールームに向かう両チームの選手たちが入り乱れるシーンから着想を得たといい、そのストライプの線は縦横に走り、太さも異なる。フリンジのディテールがポイントのカーディガンは、フロントのV字に沿ってフリンジが施され、コレクションに華やかさをプラスしていた。
スポーティーなアイテムとは一転、テーラードアイテムも登場。ジャケットやネクタイを締めたルックは、サッカーフィールド上で唯一スーツを着る監督を想起させるアイテムとなっている。しかしながら使用されている素材はポリエステルと、涼しげで軽やかだ。
フィナーレには、モデルがウェアごとにグラデーションになるようレッド、イエロー、ブラック、ホワイト、ブルーへ列を成し、手を繋いで登場。一列に整列し、礼をするその様は、さながら試合後に観客たちへ感謝を伝える選手たちのようであった。