ディオール(DIOR)の2024年春夏ウィメンズコレクションがフランス・パリで2023年9月26日(火)に発表された。
イタリア人アーティスト、エレナ・ベラントーニによる300枚以上の性差別的な広告で構成されたビデオインスタレーション作品《NOT HER》を壁一面に映し出しながら発表された今シーズン。フォーカスしたのは、男性中心の社会において独立を主張し、その体制に異議を唱えてきた反逆者たちだ。魔女や占い師を含む“反逆者たち”に思いを馳せながら、現代の女性たちに向けた力強いコレクションを展開していく。
カラーパレットは、ランウェイを構成するフューシャピンク×イエローのヴィヴィッドな色味とは対照的な、ブラックやグレーがベース。花々が咲き誇るホワイトのレースドレスやスカートなどフェミニンなアイテムも差し込まれたが、足元に無骨なミリタリーブーツと合わせることで、力強い女性像を描いた。
右肩を大胆に見せるワンショルダーのトップスが繰り返し提案されたのも今季の特徴。特に多用されたワンショルダーのシャツは、メンズウェアのような端正な佇まいでありながら、女性らしいなだらかなショルダーラインを見せることで、センシュアルなムードを纏わせている。
イタリアの前衛美術を牽引したアンフォルメルを代表するアーティスト、アルベルト・ブッリの作風を落とし込むことで、モダンなムードを纏わせたアイテムも目を引く。裾が焼けてしまったようなデザインのセットアップが展開されたほか、所々裂けてしまったようなディテールが印象的なニットスカートが披露された。
プリントは、パリの街並みをモチーフにした「プラン ドゥ パリ」の一部をぼやけさせ、曖昧にしたものが登場。チェスターコートやロングパンツにのせたエッフェル塔のプリントも同様に、輪郭をぼやけさせている。また、ディオールのコレクションに度々登場している花柄はX線を通して見たようなデザインにすることで、今季らしいミステリアスなムードに。「トワル ドゥ ジュイ」には、月や太陽、薬草といったモチーフが落とし込まれている。
ディオールのアイコニックな「バー」ジャケットは、女性の身体の形をそのまま再現するかのようなラインを描きながらも、ややワイドに仕上げているのが印象的。中に忍ばせた白シャツは、周囲の目やルールを気にせずに自分らしいファッションを楽しむように裾をアウトして着用した。