シャネル(CHANEL)は、2024年春夏コレクションを発表した。
今季のインスピレーション源となったのは、南仏・イエールの丘にそびえるモダニズム様式の邸宅「ヴィラ ノアイユ」の庭園。マリー=ロール、シャルル ド ノアイユ夫妻の別荘として建てられた「ヴィラ ノアイユ」は、入江といくつものテラスガーデンに囲まれており、のびのびとした自由な開放感に満ち溢れている。ゆったりとした屋外の空間を織りなす、庭や花壇の表情がコレクションに投影された。
目を引くのは、生き生きとした幾何学模様のルックだ。キュビズムの影響を受けたとされる格子状の庭を思わせるカラーブロックのセットアップは、淡い色彩に時折織り交ぜられた黒やグレーといった無彩色がアクセントに。ツイードジャケットの中に着たステンドグラスのようなトップスや、プリーツのブラウスに合わせた総スパンコールのパンツは、光と色彩が呼応してエネルギッシュな佇まいを見せる。
「ヴィラ ノアイユ」と同じように、“気取らない優雅さ”が見て取れるのも今季の特徴。華やかな赤いツイードジャケットにはあえてジーンズを組み合わせてカジュアルに着こなし、ガウンやカーディガンを着たルックはウエストベルトをラフに結んで抜け感を見せた。ブラックのドレスやブラウスはシースルーのオーガンザを重ね、透け感と軽快な躍動によって、肩の力の抜けた柔らかさをプラスしている。
また、あえてポケットを目立つ位置に配したデザインも散見されている。ツイードスカートやミニ丈のワンピースのフロントに配されたポケットにはきらびやかなスパンコールの装飾を施し、モノトーンのチェック柄セットアップのスカートには、真っ黒なポケットを大きくあしらった。さらに、ダブルジャケットのサイドやロングドレスにもポケットを施すなど、エレガントなアイテムにアクティブな気軽さや着やすさをもたらしている。
加えて、自由なムードは、締め付けられることのないコンフォートなデザインにも見て取れる。アイコニックなツイードのロングワンピースは、生地を贅沢に使ったリラクシングなシルエットで、流れるような佇まいに。また、波打つようなドレープを効かせたAラインのワンピースや、柔らかなテクスチャーのジャンプスーツなど、身体にしなやかに寄り添うようなウェアが提案されている。また、シューズもフラットヒールのパンプスやサンダルをセレクトし、軽やかな足元を演出した。