メゾン マルタン マルジェラ(Maison Martin Margiela)が2015年春夏のメンズコレクションで掲げた題目は「MOVEMENT SPANS ALLURE, FREEDOM SPANS STYLE」。今季のコレクションでは、これまでの「衣類」という定義からの解放を唱え、伝統的な概念に疑問を投げかけようとしている。
玉虫色のクラシックなスーツ、ボンデッド・ライニング、色あせたような風合いとヌードトーン。スーツのインナーには、まるでヌードのようなトロンプルイユのボディスーツを組み合わせている。サルトリアルの素材は再解釈され、伝統的なスーツスタイルに新たな解釈を与える。
トラディショナルなラインは解き放たれ、非構築的な素材やボリュームと共に、自由で折衷的なスタイルを演出している。ニットのハーフパンツとトラウザーを半身ずつ合体させたようなパンツ、典型的なサルトリアルの内側の構造をディテールとして再現したモノトーンのアウター、左右異なるパターンのシャツをジップでひとつのガーメントとして結合したシャツ、カレッジ・エンブレムのビーズ刺繍をほどこしたヌードのボディスーツ、2種類のパラシュートから形成されたオーバーサイズのトラウザー……といったように、相反する要素の組み合わせや表裏の入れ替えなど数々の逆転の発想や手法が凝らされ、好奇心を刺激する。異なるカラーや素材を大胆に重ね合わせたシャツやジャケットも印象的。ルースなニット、敢えてほつれさせたローエッジ、トリートメント加工をほどこしたスポンジ素材、オーバーダイと、挑戦的で特殊な素材づかいにも注目だ。
「解体・再解釈・リワークによって新しいガーメント(衣服)を生み出す」という自発的で革新的なスタイル・マニフェストを提唱し、躍動的で衝動的なフォルムを描き出すことに挑戦した。