今年の秋にブランドスタート10周年を迎え、限定アニバーサリーバッグも発売したニューヨークのバッグブランド「MZ WALLACE(エムジー ウォレス)」。今月にはMZ WALLACEのデザイナーのLucy Wallace Eustice(ルーシー・ウォレス・ユースタイス)とMonica Zwirner(モニカ・ズワイナー)が来日し、MZ WALLACE銀座店にて10周年記念パーティーが行われた。今回は来日したデザイナー二人にインタビュー。
左からLucy Wallace Eustice、Monica Zwirner
この10年間を振り返ってみて
Lucy - まず、激動の10年間を生き残ることができてうれしいという気持ちが第一にあります。また今後10年も、どういった風にブランドを進化していくことができるか、私自身とても楽しみです。日本のマーケットで受け入れられ、お客様からたくさんの良い声を頂いているので、それをバネにしてこの先10年間も成長していきたいと思います。
Lucy - これまでの道のりはとても大変でした。特にブランドをスタートした直後、9.11に見舞われ、当時はやはり非常に苦労しました。過去の10年間は経済やマーケットの状況がとても変わりやすく、スピードが速かったので、それに対応するのは容易ではありませんでした。私たちだけでなく、他のブランドも大変だった10年間だったと思うので、その中で生き残れたことはとても良かったことだと思います。
Lucy - あきらめなかったことが大きかったと思います。目標をしっかり持ち、そのために貫き抜くことが大事だと思ってやってきました。
Monica - また、いろいろな周りの意見に左右されないことが大切です。デザイナーであるためには、様々な人の意見を聞かなければならないし、同時に聞きすぎてもいけません。例えば、レザーのバッグを増やした方が良いとか、価格帯を上げたらどうかとか、いろいろなアドバイスがありますが、ルーシーの言うように、自分たちが信じてこうだと決めたことを、軸を曲げずに信じて突き進むことが大事だと思います。
Monica - コレクションで言うと、過去のコレクションを振り返って、今までになかったもの、ことを考えることからスタートさせます。ブランドというのは、毎回新しくするものでなく、回を重ねるごとに成長させるべきものですから、まずは過去を見返して、加えるべきことは何かということから考えていきます。
それは表現であったり、機能的な面であったり、様々なケースが考えられます。また、旅行が好きなので、その旅先ごとの街の特徴やその国の色使いの特徴からインスピレーションを受け、テーマやデザインに落とし込んでいくことは良くありますね。
Monica - もちろん!東京はとても刺激的な街なので、常にインスパイアを受けています。
Lucy - NYのSOHOは1970年代頃から、ファッションの街、ショッピングの街として定着してきました。SOHOには確立されたブランドや、まだ新しいブランドまでが店を構えています。そして、最初に東京を見回してみた時、多様なショッピングエリアがある事を知りました。その中でも銀座は、上品でクラシックな雰囲気を持っていて、また、ビッグブランドやまだ無名の若いブランドが程よくミックスして並んでいる点などにSOHOと似たもの感じ、惹かれました。
私たちはMZ WALLECEを、流行ばかりを追うトレンディーなブランドにしたくなかったので、そういったブランドが周りになかったことも大きなポイントでした。銀座は私たちのブランドのイメージにとても合致していたのです。また、私たちにとっても銀座は大好きな街です。街を歩いているだけでもたくさんの発見が溢れていますからね。
Lucy - アメリカの女性より美容やファッションに対する興味が強いですよね。皆さんとても努力されているのが分かります。また、異なったアイテムをミッスクして一緒に身につけるのが非常にうまいと思います。
アメリカの人々はファッションに対してもっと保守的ですから。アメリカの人はファッションやヘアスタイルも同じ傾向になりがちですが、日本人はそれぞれが異なるスタイルを楽しんでいるところが印象的ですね。アメリカ人はいくつかのブランドに固執し、それ以外には目もくれないことが多いので、私たちにとって、この日本人の「ミックスする感性」はとても面白く、興味深いポイントですね。
Lucy - 今のペースをキープしていきたいです。ブランドの拡大については、私たちはそんなに焦っていません。起こるべき事は起こるときに起きますから、無理して進めていく事はありません。このままのペースでじっくり成長して行きたいですね。ですから、他のアジア諸国が勢いづいているからと言って、中国に出店するとか、拠点をつくるといったことは考えていません。
Monica - 私が思うに、日本の消費者の方がファッションに対して洗練されていて、ブランドの事を良く理解してくれていると思いますしね。今後もこれまでのように、自分たちのペースで成長していければ良いと思います。
Monica - 普段はシンプルでクラシックな、日常のシーンで使いやすいバッグをデザインするのですが、10周年ということでいつもとは趣向を変え、記念品となるようなデザインにしました。10周年は私達にとっても大きな記念ですし、普段とは違うデザインをする特別な機会だと思ったので、遊び心を加えて楽しくデザインしました。バッグ内部の裏地のラッピングペーパーをモチーフにした施しなど、ちょっとした仕組みを楽しんで頂きたいと思います。
- どうも有難うございました。
この後、銀座店では10周年記念パーティーが行われ、たくさんの人たちが訪れた。店内は10周年記念限定バッグがディスプレイされたりして華やかな雰囲気。中にはデザイナーの二人と一緒に記念撮影をしたり、多くの人たちがパーティーを楽しんでいた。