アキラーノ リモンディ(AQUILANO・RIMONDI)がミラノファッションウィークで2015年春夏コレクションを発表した。芸術からインスピレーションを受けることの多いデザイナー2人の目に今季止まったのは、アンリ・マティス。特にマティスの礼拝堂に関しての美学からのイメージソースが服に落とし込まれている。
マティスは礼拝堂の外観において、色彩溢れるステンドグラスと、白黒の縁取りだけのくすんだ壁との調和を目指した。コレクションでも対比する要素のバランスが描こうとされている。窓の質感はラフなリネンに変換され、ステンドグラスの色と光は軽やかなシフォンやオーガンジー、ラフィア素材で表現。白黒の縁取りは大きく目立たせたステッチとなって服の上を走る。
際立っていたのは、トランスペアレントの要素。ロマンティックなフローラルとドラゴンフライのモチーフが舞い、いっそう軽やかでピュアなスタイルへと後押し。マティスへの敬意を表して、画家の作品を思わせるプリントもみられる。ラフィア素材は、オーバーサイズのピーコートに使われ、絶妙なボリュームと構築的なシルエットで今すぐ春夏のワードローブに入れたいアイテムへと昇華させた。後半のつややかなシルクはどこかオリエンタルな空気もはらんでいる。
柔らかな色と透明感のある素材で、女性の心をわしづかみにするルックの数々だが、"綺麗"一辺倒で終わらないのは、随所に散りばめられたテクニカルでスパイシーなデザインのおかげ。台頭したディテールは、プリーツ。シャツワンピースの上に巻きスカートのように重ねたり、ロングベストの背面やスカートのサイドなどに切り替えて用いた。エンパイアラインのドレスのショルダーストラップをハーネス風にしたのは、ロマンティックとエッジィの駆け引きだ。
後年、人々に癒しと安心感を与える、まるで肘掛け椅子のような絵を描きたいと語ったマティス。身体を綺麗に見せるシルエットと仕立ての良さに定評のあるリモンディの服は、女性にとっての頼れる"肘掛椅子"といえるかもしれない。