ヨウジヤマモト(Yohji Yamamoto)が2014年9月26日(金)、2015年春夏コレクションをパリで発表した。
「女の人のセクシーとかエロスとかを今までずっとタブーとしてやってこなかったのですが、挑戦してみようという考えがありました」と、デザイナー山本耀司は語る。今季はドキッとするような色っぽい女性像が、ブランド独自の視点を通じて映し出されている。特徴的な魅力は、あからさまな肌の露出ではなく、服の隙間から見え隠れする素肌。何気ないようで、計算しつくされたその加減は、どのアングルから見ても誘惑されてしまうような美しさがある。一概にセクシーといっても様々であるが、男性デザイナーならではの感性が存分に反映されたコレクションだ。
“一枚の布”をまとう、というブランドらしいデザインが今季は、いつにも増して際立っている。艶やかな生地を繊細なストラップでつるしたドレスは、ショルダーラインが露わになっていたり、キャミソールやドレスを複雑にレイヤードした着こなしからは、片方の腿をさらけ出していたり。布で包まれた身体は、ボディラインこそ隠れているものの、どこか一部は大胆に露出されている。また緩やかなレースアップも多くのピースに取り入れられ、フェティッシュな香りを振りまいた。
そして、マスキュリンなジャケットも数多く登場。透け感をまばらに配した一つボタン、ダブルブレスト、ほつれた糸があしらわれたノーカラージャケットなどをさらりと素肌に羽織っている。その他シースルーのつなぎ、サスペンダーをしたパンツ、胸元をポケットで隠したサロペットなど、男性的な装いで魅せる女性らしさも印象に残る。
セクシュアリティが全面に押し出されたコレクションは、一方でロックな要素も垣間見えた。メタリックイエローのジップアップコートやショートジャケット、グランジなムードのゆるく編まれたニットドレス、ブラックのレザーコートなどパンチの効いたスタイルも。足元はスニーカーブーツ、レースアップブーツを合わせている。また今回は、めずらしくゴールドのスパンコールといった輝く装飾も散りばめられた。
フェザープリントのケープにガーターベルトを合わせたモデルが登場すると、その後は花々を胸元に咲かせた、大きなシルエットのウェディングドレスが披露され、これまでの刺激的な空気をかき消す。「最後はみんなをほっとさせたかった」と山本が話す通り、ラストはユーモアのあるサプライズとともに締めくくられた。
ショー直後の山本耀司が語る、2015年春夏コレクションについて
今季は、どんなアイディアからスタートしたかを教えて下さい。
女の人のセクシーとかエロスとかを今までずっとタブーとしてやってこなかったんですけど、今回は取り掛かる前から、挑戦してみようという考えがありました。とっても難しかったです。
いつも発表直前までコレクションの仕上げを行うそうですが、今回最後まで悩んだことはありましたか?
全部ですね。例えば脚のスリットをどの辺までにするとか、脇を見せるときにどういう風に見せるとか、最後まで。
耀司さんにとって、セクシーな女性とはどんな姿でしょうか?
女性がセクシーであるというのは、見る人によっても違うし、それから女性のコンディションによっても違うし……。例えば“花と女性”ってよく例えるんですけど、美しい花ってのはこの世に存在しないと。花はある瞬間、コンディションを与えられると美しくなるんだと。僕、女の人がそうだと思うんです。ずーっと美しい女性っていないと思うんです。それと同じで“セクシー”もあるコンディションにはまらないと、セクシーにならないんです。
例えば、太ももを全部見せて歩いているとか、要するに露骨に見せれば見せるほど、セクシーじゃない。ちょっと、ほどけて見えるところ、ほつれて見えるところ、そういうときドキっとするんです。
ラストは、ウェディングドレスで締めくくりましたね。
場合によってはセクシーだしエロスだしパンクだし、デリケートで難しいテーマをやっていたので、最後は可愛いお花畑にして、観客にほっとしてもらおうと思いました。