プラダ(PRADA)は、2025-26年秋冬ウィメンズコレクションを発表した。
ミウッチャ・プラダとラフ・シモンズが手掛ける2025-26年秋冬コレクションの出発点となったのは「典型的な女性らしさとは何か」という問い。女性らしさ、そして美の概念は今日に至るまで様々な変遷をたどっており、時代によって異なる認識が作られては新たに置き換えられてきた。コルセットからの解放を筆頭に、脱構築化と再文脈化を繰り返し、女性らしさや美しさの認識は常に変化し続けている。
今季のプラダのクリエーションは、絶えず動き続ける「女性らしさ」の概念を見つめ、その決定的な定義はどこにあるのかを探求していく試みだ。「女性らしさ」を形作っていた要素を解体し、従来の意味づけから切り離すことで「女性らしさ」とは何を意味するのかを浮き彫りにしようとしている。
たとえば、「女性らしさ」の象徴的なアイテムとしてとらえられてきたドレスは、フォルムをアンバランスに作ることでドレスというアイテムの意味合いを問い直す。ウエストを絞るダーツはシェイプを甘めに設定してゆとりを持たせ、襟ぐりは大きく歪んだラインにするなど、あえて既定の仕立てと異なる方法で仕立てることで、違和感や問いを浮かび上がらせつつ、逆説的にドレスの構造に目を向けさせているのが印象的だ。
片方によれたドレープ、唐突な位置にあしらわれたリボンとギャザー、立体の身体構造ではなく平面的に身体をとらえたようなウエストの切り替えなど、ドレスを形作る要素の1つ1つが「ドレスとは」「女性らしさとは」を問いかけてくる。ベアトップのミニドレスはアウトラインを切りっぱなしで仕上げることでドレスそのものの持つ装飾性を削ぎ落とし、その極めてシンプルな造形に焦点を当てている。
また、ドレスの他にも粗野なディテールが散見された。レザーやウールなど多彩な素材で登場したスカートはいずれも、ウエストをラフにつまんだようなタックを寄せ、あえてシワが寄るように仕上げられている。さらに、不均一に並べられたボタンや曲がったリボンの装飾がその粗野さをより一層際立たせている。
さらに、ファーを使ったルックも多く見受けられた。ファーを有機的なボリュームを生み出すショールとして首に巻き付けたルックは、ファーがラグジュアリーな装飾としての側面だけでなく、躍動感を与える1つの要素、もしくは構造に変化をもたらすアクティブなアイテムとして機能しているのが見て取れる。また、身頃全体を覆うようにファーを配したテーラードジャケットも登場。襟には他の色のファーをのせ、あえて地の部分が見えるように隙間を作ることでわずかな歪みを差し込み、質感のコントラストを生み出している。