ヤストシ エズミ(Yasutoshi Ezumi)が2015年春夏コレクションを発表。今回はショーではなく、敢えてギャラリースペースでの展示を選んだ。デザイナー江角泰俊がパリ滞在中に、洋服もギャラリーのようなゆっくりとした時間の中で見せたいという想いからだという。
今回のコンセプトは、自然の英知を模すことにより、人類が抱えている問題を解決していくという意味の科学用語「バイオミミクリ(BIOMIMICRY)」。“バイオ”は生物、“ミミクリ”は模倣するという意味を持つ。自然を敬い、緻密な構造によって成り立つ自然の仕組みを学び、人間の頭脳と知識を持ってものづくりを行った。
またこのコンセプトについてリサーチを進めていく中で江角が出会ったのは、日本人アーティストMACOTO MURAYAMA。彼は「BOTECH ART」という独自の視点、方法によって花を建築図面のように描き出し、植物の持つ形や構造を完璧にビジュアライズする。今シーズンは、彼の建築的でジオメトリーな花の作品にインスパイアされ、自然を分析し学び、その英知をデザインへと落とし込んだ。
そんな花といった有機的なものと、ジオメトリックな要素が洋服の節々に見られた。例えばワンピースには、花びらをイメージした曲線に図面を書くときの直線を織り交ぜている。また、プルオーバーにはボーダー、ボトムスなどにはジオメトリーな枠が描かれ、その中にはブランドで初めて使用するというレースで緻密に再現された花柄を閉じ込め、相反する2つのエレメントをみごとに融合させた。
シルエットでは、上下のコントラストを楽しむことができる。タイトでコンパクトにまとめたトップスに、サーキュラータイプのスカートやボリューミーなバミューダといったボトムスを合わせるコーディネートが多く見られた。
カラーはホワイトをベースに、ブラックをところどころで使用しコーディネートを引き締めつつ、中間色の杢(グレー)を取り入れ全体を和らげる。そこにパステル調のピンクやブルーを取り入れ、先シーズンから一変して、フェミニンな色香を振りまいていた。